僕はいつもあの浜辺で継ぎはぎの夢を見つづける
「ま」の字
大陸東岸の島嶼では、なんとも夥しい数の
言葉が浜辺に堆積し続ける。行き先を持たぬ
者らは、最後は海辺に横たわるしかないのだ。
一日の始まりから終わりまで、波は鳥という
鳥のかたちを投げかける。悔いも、夢も薄れ、
彼らは鳥たちの屍体と重なりあい、やがて折
れ、潰れる。
「子供だった頃わたしは 薮のむこうに
大きな星が落ちてゆくのを何度も見ました」
(23歳 女 OL)
「僕は 町を走っ リリリりり、
歌を 歌いたくても 空ばかり 見て
いて えレレレれれ !」
(21歳 男 無職)
ゆうぐれる
この星の
大なる気圏がゆうぐれる
投与された鎮静剤のように
深々としたただなかを
人造の星が滅びてうまれる傷が空をよぎる
風吹く街を
走っても はしっても
手や脚、心臓さえかぜに透けた
らら!
らら、いイらら!
風吹く街の“私”たちに
なにの予定もありはしない
と
「われらも 世界も 無配だ
うすらさむい」(68歳 男 改革支持)
そうして
砂の上でしずかにひかる
幾夜 幾夜も
ひかるだけです