雪上の滑車
結城 森士

澄み切った夜の
雪山の上を 峻坂を
流れていく ぼんやりと 光と

見上げた空に
張るような新雪の斜面を
僅かな反射が一瞬を煌き 銀色の月が白い地上を
流れていくのを見ていた とても広い意識の中で
冷たく
俯瞰している
貴方が
同じ夜空を 見上げている事を
願いながら 自分の影が
不自然に揺れているのを
感じながら
揺れながら昇っていく
揺ら揺らと流れながら
ゆっくりとゆっくりと
不自然を 感じながら
融けだした月下の破傷さえ
静寂に白けていく

白い意識の一瞬に焼き付けたいと
消えていく ような 願いの中に
溶けて消えてしまう

高嶺から
白いカサブランカが
雫と共に流れ落ちてくる



自由詩 雪上の滑車 Copyright 結城 森士 2007-01-07 11:36:09
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