結晶核、とらわれて
たりぽん(大理 奔)

世界が希薄になっていく
高い高い、高い場所で
不純な核にとらわれて連れ戻された
綺麗なだけの名前で呼ばれるもの

   海は無限のやさしさでとかして
   吹き抜ける音や打ち寄せる色だけが
   それでも、泡を吹きながら防波堤にいどみ
   無惨で美しく、ここにいる、ここにいると

世界はざわめく、降り積もる重さで
ぎいぎいとうめきながら
降り積もるものを受け止める
冷ややかな温度

   山塊はざわめく
   とかされないそれらが
   堆積する冷たさの白で
   私は息苦しさに汗ばむ
   足を取られ、息を奪われながら
   流れていくことなく
   とかされる日を待ちこがれることの
   その息苦しさに

季節を待たずとも
荒々しい無尽蔵のやさしさに降りしきれば
とかされながら、それでも
泡を吹きながら防波堤に挑み
無惨でも、美しく
ここにいる、ここにいる
ここにいると

   街角に降り積もり
   覆い隠すかのようで
   ただただ、堆積し
   奪っていくだけの
   見かけだけの美しさに
   誰もが寒い、
   寒いとつぶやいて

思いをとどまらせる温度が
とらわれた核をともなって
降り積もっても
降り積もっても、届くことがない

綺麗
とだけ窓の内で
つぶやくひとの
その胸には




自由詩 結晶核、とらわれて Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-01-07 10:25:57
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