息のある場所
霜天
白い壁の、階段の、連続していく景色
寒い手を賑わせる文字、投げる言葉の
飛び越えた繋がる線の上の、息のある場所
いつか、気付く心が伝えたかったこと
特別な声が流れて
枯れ草が風になびいた
一つずつを手に取り確かめながら
空が虹の作り方を考えていた頃
僕らは確かに一つずつだった
まだ街は季節の変え方を知らないので
通りの花を一つずつ抜きながら歩いた
何もない景色に変わっていく遠くの空では
寒い手を賑わせるための文字も、言葉も
ただ毎日を繋げるためだった夢も、眠りも
灰色の壁や、灰色の空に、耳に届く音も吸い込まれて
ページを捲る必要もなくなっているのかもしれない
あの日、確かに息のあった場所で
連続しているのは
白い壁の、階段を
上っていく人たちの、息
それは声を投げるように
それは言葉を繋げるように
いつか気付く心に届くように
吐き出される、息
手に取るのは、触れるのは、そこにあるものだけ
明日でも昨日でも、声の届く範囲の、世界の
気付いていけるのは繋がる線の上の、いつか循環する僕の
確かに存在していたような、息のある場所