息のある場所
霜天

白い壁の、階段の、連続していく景色
寒い手を賑わせる文字、投げる言葉の
飛び越えた繋がる線の上の、息のある場所
いつか、気付く心が伝えたかったこと


特別な声が流れて
枯れ草が風になびいた
一つずつを手に取り確かめながら
空が虹の作り方を考えていた頃
僕らは確かに一つずつだった

まだ街は季節の変え方を知らないので
通りの花を一つずつ抜きながら歩いた
何もない景色に変わっていく遠くの空では
寒い手を賑わせるための文字も、言葉も
ただ毎日を繋げるためだった夢も、眠りも
灰色の壁や、灰色の空に、耳に届く音も吸い込まれて
ページを捲る必要もなくなっているのかもしれない
あの日、確かに息のあった場所で

連続しているのは
白い壁の、階段を
上っていく人たちの、息
それは声を投げるように
それは言葉を繋げるように
いつか気付く心に届くように
吐き出される、息


手に取るのは、触れるのは、そこにあるものだけ
明日でも昨日でも、声の届く範囲の、世界の
気付いていけるのは繋がる線の上の、いつか循環する僕の
確かに存在していたような、息のある場所


自由詩 息のある場所 Copyright 霜天 2007-01-07 01:49:55
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