杉菜 晃
ほぼ三年ぶりの投稿です。







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ひとことダイアリー(3)
春日傘
差すというより
照らされて
初電車
ぼんやり浮かぶ
鳥を見た
福寿草
青い明日に
手をのべる
黄のぬくもりも
滲みてきそうで
冬の雷
ちらと覗いて
それっきり
溜め込んでいる
怒りが怖い
縄跳びの
縄空に飛ぶ
春を追い
早朝 庭に鳥が来て
雪浴びをしている
この寒さに けなげにも
私は気になって
大丈夫かと
声をかける
鳥はその私には黙ったまま
雪を浴びせ
あばよと帰って行った
あの女の中にすむ微風のように
初雪に
埋まる町の
美しさ
空青く
春を待つ鳥
木に並ぶ
冬霧の
中を高貴な
人がゆく
ヒールの脚が
見え隠れして
冬ぬくし
雀が縁に
顔を出し
瓶の小花を
摘まんで飛んだ
ある啓示
我にさずけて
くれた人
さすが天界の
器局なりけり
雪が降る
詩と音と絵が
あやなして
天も控える
ひそやかな舞い
山川も
森林もなく
埋め尽くし
諸鳥の声
都市へと下る
大白鳥
翼開いて
うなだれる
その全貌を
朝日が染める
焚火には
闇赫かす
華ありて
夜更けの街に
星降りしきる
召し人の
数だけ果実
豊かにて
クローンなどは
一人とてなし
一晩で
塀に積もった
新雪を
けみするうちに
木の実発見
ポエムでもなく
猫の話だ
鶴一羽
いや二羽歩く
この冬野
冬萌が
人の心を
あたためる
牛が見つけて
欲しいと吼えた
示しあり
昨日の今日の
教えとし
秋の野に
一つ兎が
跳ね躍る
それを追いかけ
月下の兎
湖面に映る
姿は一つ
改名し
神のことばを
奪取する
万象は
神の一念
クリスマス
冬の梅
幹を貫く
曙光かな
顔出せば
隣家の梅が
ほの匂う
姿見えねど
豊潤を受く
極月の
ひと十字路に
立ち止まる
暗雲険しく
ゆくてをふさぎ
神の時
来るまで深く
隠されて
ついに出現
二つの星が
馬二頭
風等分に
小道かな
冴える夜に
馬がいきなり
鈴鳴らす
吾が居眠りを
咎めるように
日脚伸ぶ
ホームに人と
鳩がいる
歳晩や
ゆったり泳ぐ
鯉がいた
神に訊く
遠くいる人
無事ですか
永遠にしてごく近い
と神は言われた
ついに来た
神の言われる
動かねば
ならぬそのとき
まさにそのとき
落葉降る
ざわめき内に
抱え込み
いま着いたよと
一羽の鶴が
冬枯れの
苑に佇む
少年の
見下ろす館
たわむれる猫
寄鍋を
つついていれば
鶏が啼く
コケコッコー
今夜は冷えるね
分かりやすい
詩がいいな
人は分かりやすい詩に
郷愁を抱いている
猫が道の真ん中に座っていた
ダルマみたいにー
酔いつぶれ
夜道を迷い
行く我に
良い星が出て
帰路を教える
熟柿おち
その後に出た
冬の月
かわいいね
そういうキミも
冬菫
覚醒を
うながし
ひかり放つ星
猫という
小もの通して
世界見る
すると不思議に
安らぎがくる
時つくる
声聴いた朝
うれしかった
旅する猫に
遇える気がして
日光が
寒いベンチに
咲いてるよ
あの子は今日も
来てるだろうか
そろそろと
日脚移ろう
この時刻
サラリーマンも
会社について
ふと降りた
ホームのカンナ
麗しく
こんな花なら
一本ほしいな
人間の
酔っ払いには
手を出すな
豹変あるなし
見当つかず
ああ愉快
かっぱらったよ
エビフライ
駅長が今
首かしげてる
しばらくは
ホームに散らばる
ハト・スズメ
猫片隅で
それを見ている
そのうちに
電車が停まり
猫降りた
ホームの花の
匂い嗅ぎつつ
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