作者より:
エピローグ −『死神と私』−
俺には死神のじぃちゃんがいた
母の名付け親だったから血は繋がっていなかったけど
じぃちゃんは
いや
死神は
面白くて
寂しそうで
意地が悪くて
優しい人だった
その死神は母が死ぬと何処かへ消えてしまった
死神が消えると不思議なことに
死神がどんな顔だったのか思い出す事はできなくなった
死神は自分の思い出を置いていってくれなかったのだ
置いていったのは
母につけた名前だけ
墓石に刻まれた母の名前はまるで他人の名前のようだった
墓前の雪は残さず溶かされて
それだけが死神の名残のように感じられた
深く掘られた
その名前を指でなぞりながら母に問い掛ける
なぁ母さん
今度短い連載をもたされたんだ
この前の本が大分売れたから
担当が俺の好きにして良いってさ
書いてみようと思うんだ
じぃちゃんと母さんの物語りを
タイトルはそうだな
『死神と私』なんてどうだろう
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後書き
二月の最初に単発のつもりで書いた『死神』と私がこんなに広がった世界を持つ連作になるとは思いませんでした。
最後に作者として、ここまで一緒にやってきたキャラクターに伝言を。
『私』へ:貴方の死を描く事になってごめんよ。でも、もう二作目の『蒼い電車』を書いた時から決まっていたことなんだ。貴方が死んでしまうことを決めた時、貴方が死ぬ場面が浮んだ時、私もすごく悲しかった。だからできるだけ幸せな人生を贈りたいと思って、丁寧に丁寧に貴方の人生を描いたつもりだ。どうかこれで許して欲しい。
お疲れ様、どうもありがとう。雪さん。
『俺』へ:お前はちょっと好き勝手しすぎだ。結局は美味しい所取りじゃないか、全く。でも『俺』というキャラクターがこの世界に広がりを与えてくれた。『私』は終わってしまったけど、お前というキャラはまだまだ続いているんだよ、きっとそれは私の中でも読者の中でもね。
お疲れ様、どうもありがとう。息子くん。
『死神』へ:君には驚かされてばかりだ。単発でかいたはずの作品がここまで膨らんでしまったのも全ては君が生き生きとしすぎていたのが始まりだった。もっと淡白な性格付けのつもりが、君は勝手にどんどん『私』を愛していって、優しい暖かい死神になってしまった。このまま、『私』が死んだら後を追って一緒に死んでしまうんじゃないかって思っていたよ。だからせっかく『死神は“殺し”をしたらチリになって消えてしまう』という新しい設定を用意して、『私』が死んだ時に墓に供える花を摘み取って(殺して)君がチリになる路をととのえていたのに。結局死なないんだから、ここまできたら君の自分勝手さに拍手を送りたいよ。君が生きる路をとったなら、これからも働いてもらうからね。もちろん拒否権なんて無いから宜しく。
まぁ今回はお疲れ様。そしてありがとう。また会いましょう、何時か何処かの物語りで。
それから、『死神』にインスピレーションをうけて、渕崎。さんが『天使』シリーズを書き始めて下いました。渕崎。さん頑張ってください、応援しています。シリーズが機動に乗ったら、死神と天使でコラボでもしましょうよ。こっちは何時でも死神をひっぱって来ますから。
そして今まで読んでくださった全ての方々へ胸いっぱいの感謝を。
ここまで描ききれたのも皆様のおかげです。キャラクター共々御礼申し上げます。
本当に
本当に
ありがとうございました。 06.02.26 蒸発王
(BGM:坂本真綾「うちゅうひこうしのうた」/椎名林檎「落日」「スーパースター」)
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あおば様<ありがとうございました
和泉様<死神は丁寧語使いなので僕か私が一人称です。私はもう使ってるから僕。息子はおいしいところ取りですよー!
卓様<ありがとうございました
理凛様<ありがとうございました
渕崎様<終わりました。ほっとしたような、でもやっぱり寂しいですね。天使シリーズがんばって下さい。ネタで悩み事とかあったら、私信で相談に乗りますよ。
ありがとうございました。
腰越広茂様
<シリーズ全部をごひいきにして下さってありがとうございました。
いすら様
<泣いていいよ・・・泣いてくれれば私も一緒に泣けるから。
ありがとうございました
理来様
<ありがとうございました
奏様<ありがとうございます。私も不器用でいて器用な死神が一番好きです。自分でもかなり気に入ったシリーズとなったので、そんなふうに言ってくださると本当に嬉しいです。
久しぶりに現代詩フォーラムにきたらポイントがすごいことになっていて吃驚しました。死神シリーズにずいぶんとご贔屓してくださったみたいで恐縮です。
詩作のパワーを頂きました。ありがとうございます。(ぺこり)