作者より:
ミミズの宇宙船(文字起こしVer)
ネズミのチューは散歩の途中でまん丸靴下のミミズを見つけた。
君は誰?と訪ねると「申年生まれの彗星です。実は落とした帽子を探しているの」
チューは近くにあったミノムシをとんがり帽子にして、被せてあげた。
喜んだ彗星はクネクネと踊りだし、今度は靴下を落っことした。
チューは彗星が落とした靴下に気付かないように尻尾と頭を結んで帽子を被せた。
クネクネと動く彗星はチューを乗せて、そのまま宇宙に飛んでった。
宇宙は暗いね、なんだか重いね。チューは彗星に言った。
「知らない世界ってのはそんなもんさ」彗星は言う。
「さあ、ぼくは疲れたから後は一人で楽しんでくれ。ああ、帽子をありがとう、これはホントに良い帽子だ!」
そう言うと彗星はチューを蹴飛ばしてそのままクネクネ踊って何処かに行ってしまった。
暗くて重い宇宙に取り残されたチューは心細くなった。
近くを通った明るい光、それをフラフラ星の尻尾だと思い、助けてもらおうと手を伸ばした。
しかし、掴んだソレはアンモナイトのイビキで揺れるヒゲだった!驚いたチューは慌てて手を離し、逃げ出す。
暗闇の中、とうとうチューは泣き出した。それを聞いたモグラが穴から顔を出し、「どうしたの?迷子かい?」と聞いた。
チューは地球(ほし)に帰りたいとモグラに泣きつくと、モグラは笑って地上まで穴を掘って帰してくれた。
チューがいたのは宇宙ではなく、地中だった。気付いて恥ずかしくなったけど、チューはモグラにお礼を言って、家に帰りましたとさ。