五行歌、砂漠の薔薇(改訂)/ひだかたけし
 
以下の方がこの文書を「良い」と認めました。
- リリー 
- 朧月夜 
ひだかさんの詩を読むとき、とくに身体的な悩みを抱えている人にとって、それは光明になるものと思っているのですが(心理的な悩みを抱えている人にとってもそうであれば良いのですが、そこは読者の問題ですので、なんとも言えません)、こちらの詩では「ひたすらな走りの末自らの肉抹殺し」は「旅立った彼女」にかかっているのかな? とすると、安易に読めば、今までよりも「痛み」というものが普遍化されていて、今改めてそういう表現が出てきたことには、意義があると感じます。そうではなく、「旅立った彼女」に思いをかけながら、自らが「魂の静かさに至るため」ということであっても良いのですが、こちらもわたしが読ませていただいた限りの今までのひだかさんの詩とは若干違ったニュアンスがあり、いずれにしても、多分注意しないと見過ごされてしまいそうな詩に思われるのですが、ひだかさんにとっての詩作のターニングポイントになっている詩の一つかと思えます。上に挙げたうちの前者のような作であった場合、過去にもそういうものを書いてきていますよ、とあるいは指摘されるかもしれませんが、ここまで簡潔に、明瞭に書かれていると思われるものは、わたしが読ませていただいてきた中には、ないとは言えないまでも、あまり多くはなかったように思えて、最後の「この平面因果の次元突き抜け」にしても、適度に深く、読者を怖がらせるほどには難解ではなく、また世界観、とくに実存主義的な考えにも従いつつそれを少し超えたところにある世界観が提示されているように感じられて、一言で言えば、「これは真に優しい詩だ」という印象を読者に抱かせるものになっているように感じます。先ほど起きたばかりで結構寝ぼけていたのですが、はっとして、目が覚めました。この詩を読んだ上で、そのようにひだかさんの全ての詩も読んでほしい、という。そんな思いを感じています。
- 田中宏輔 

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