レヴィナスの芸術哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる9/もぐもぐ
 
以下の方がこの文書を「良い」と認めました。
- 汰介 
文庫でゆっくり読んで見たい感じです。
- 石川和広 
面白いよね、この本。

異郷ということばと、感覚の裸さの極限形態としての裸。
やはりランボー、ボードレールあたりの、ところから、日本の近代詩へとつながると思う。
しかし彼は、美学の議論より、大戦後の世界をどう行きぬくかから「裸」を提出したので、ここから、倫理と美への関係への議論が楽しみになりました.
 
作者より:
「実存から実存者へ」(西谷修訳、講談社学術文庫、1996年)
小さいけれど、レヴィナスの思考のエッセンスが詰まった名著だと思います。
「存在の彼方へ」はさすがに最後期の著作だけあって、「時間」についての議論とか、議論も込み入っているし、文体も難しいし(訳も難しいし)で、かなり読みにくいですが、「実存から実存者へ」の方は、レヴィナスの発想の基本が割合簡単な言葉でしっかり記されていて、レヴィナス的議論になれていなくてもそれなりにすんなり入れます。
レヴィナスなりの「気分(情態性)」の描写とか、文学や芸術を多々引用しながらの議論とか、読んでいてもなかなか楽しいです。訳も、合田正人よりは、多分ずっと読みやすそうな感じです。
変な例えかもしれませんが、例えば、西田幾多郎で言えば「善の研究」に当たるような、小著ながら後の発展の芽が全部そこに入っていそうな、レヴィナス的基本書だと思います。

にもかからず、非常に残念なことに、現在「品切重版未定」となっていました(http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/intro_idc.jsp?id=4510)。「存在の彼方へ」の方は未だ流通しているようですが・・・良い本が手に入らなくなるのは残念です。

訂正履歴:
詩文の音楽性と、「裸」についての説明を追加。04-8-5 22:16

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