すなやま/そらの珊瑚
夏美かをるさんのコメント
鳥取砂丘は訪れたことがありません。日本に住んでいるうちに行っておけばよかった場所が沢山ありますが、なにせバブルの時代にOLをしていたので、旅行といえば海外でした。まあ、そんな話は置いといて…私もその砂丘が日本軍の修練場だったとは知りませんでした。今は旅行者が訪れて素敵な思い出を残す場所であっても、当時の訓練兵達にとって見れば地獄に等しい場所だったのですね。かけがえのない家族と砂丘を訪れながら、その幸せが一瞬で砂丘に飲み込まれそうな感覚を味わう作者の心の繊細さ、そんなこともセピア色の思い出に変わった後に、ふと知った過去の辛い現実…実際はその現実を知ることによって家族の思い出が蘇ったのでしょうか?いずれにしても、同じ場所で繰り広げられた2つの全く別の光景が珊瑚さんの繊細な心のフィルターを通って結合し、過去から又その過去へリニアに繋がった旅へと読者を誘う。その旅のおみやげは珊瑚さんからおすそ分けしてもらった、人間を見つめる眼差しの
優しさなんですね。