失くし物/山中 烏流
ゴースト(無月野青馬)さんのコメント
読みました。
そして思いました。
この詩は読みやすい詩、与し易い詩ではないと。
>あの日
「行ってらっしゃい」を言えなかった私だから
今も
お前に「お帰りなさい」を言えないのだろうか
こんなことが起こるのだろうか、起こってたまるかと人が強く思うことほど起こってしまう、現実になってしまうという事態は、誰にでも起こり得ます。
僕にもあります。
しかし、そんな過酷な渦の中で、僕らは見失ったり、はぐれたりした、「何か(これは人によって違う」の残滓、残像をかき集めながら生きているようなものなのかも知れません。
その困難は風化などする訳もなく、解決策の見つからぬまま携わる僕らの方が劣化していくのです。
僕らは錆びる。けれど、この厄介な渦は何時までも、その日のまま、現存し続けるのです。
それは、それを直視し続けることは、やはり大変です。
携わる者がどんどん塩に当たり、錆てしまうからです。
ですが、この詩の中の主格は、勇気を奮い起こし、渦に身を乗り出し、彼方へと消えた「何か」に向かって声を掛けている。その姿に、感動を覚えました。