ご丁寧な整理に感謝しますが、いくつか読み違えがあると感じたため補足します。

私が「詩誌は〈新しい詩〉を見つける場所として役割を終えた」と述べたのは、詩の質や専門性を否定する意図ではありません。問題にしているのは、生成と即時的反応という機能が、すでにネット空間へ移行しているという環境の変化です。これは質を量にすり替える議論ではなく、流通構造の記述です。

また、ネット詩の多くが未熟である点も否定していません。私が言う「詩的言語の運動」とは、完成度の高低を称揚するためではなく、無選別に生成・反復される言語のあり方そのものを指しています。評価以前に、まず観測と記述が必要だという立場です。

詩誌の「遅さ」についても同様で、それを否定するのではなく、遅さこそが詩誌の固有の役割になりうると考えています。速さと遅さは対立ではなく、異なる機能の分担です。

さらに、「脱・格付け」は専門性の否定ではありません。評価だけに専門知を還元せず、読解の筋や文脈提示として共有することも、専門性の一形態だと考えています。

本稿はネット詩の擁護でも、自己弁護でもありません。詩がすでに別の場所で生成されているという前提のもとで、詩誌が批評と思考の場としてどう生き延びるかを問う試みです。その前提が共有されなければ、議論が噛み合わないのは自然だと思います。

ぶっちゃけ、詩誌に載る作品が常に優れているとは限りません。選考制度や誌面構成といった制約が作用しているのは事実です。

また詩誌は表現の場であると同時に、大学や公共図書館での継続購入を前提にした「専門性ある文化資料」というビジネスモデルにも支えられています。つまり、その権威は美的判断だけでなく制度的流通によって成立している。

ゆえに、詩誌の評価を作品の絶対的優劣と同一視するのも、ネット詩を一括して価値の外に置くのも、詩を取り巻く環境の複雑さを見落としていると思います。

---2025/12/30 16:54追記---

ご意見ありがとうございます。強い言葉遣いの中に、詩を軽く扱うことへの危機感がある点は理解しています。ただ、いくつかの点で議論がすれ違っているように感じました。

私が述べた生成と即時的反応とは、詩の価値判断に即時性が必要だという主張ではありません。評価には時間が必要であり、その点については同意しています。私が指しているのは、作品が生まれ、他者の目に触れ、何らかの応答が返るまでの回路が、現在では主にネット空間に存在しているという環境の変化です。これは詩の理想論ではなく、流通や接触の構造についての記述です。

また、ネット詩の観測や記述を詩誌が全面的に引き受けるべきだと言っているわけでもありません。すべてを拾い上げよとか、ネット詩の価値を無条件に肯定しているわけでもありません。未熟な表現やノイズが多いことは前提としています。ただ、それらが大量に生成され、消えていくという現象そのものは無視できず、詩誌が新しさを発見する場であり続けたいのであれば、直接関与しないにせよ、その外部環境をどう位置づけるかを考える必要がある、という問題提起です。

制度的流通について触れたのも、詩誌の権威を否定するためではありません。詩誌の専門性や権威が、美的判断だけでなく、大学や公共図書館への継続的な流通といった制度によっても支えられている以上、掲載されたという事実をそのまま作品の絶対的な優劣に結びつけることも、逆に制度ごと無意味だと切り捨てることも、どちらも現実を単純化しすぎていると考えています。

ネット詩も詩誌に載る詩も、言葉で書かれている以上、本質的には同じ地平にあります。違いがあるとすれば、選別の強度や批評の有無、時間のかけ方です。私はネットで評価されることに満足しているわけでも、詩誌を敵視しているわけでもありません。詩がどこで生まれ、どこで鍛えられ、どのような形で残っていくのか。その配置を冷静に考えたいだけです。

詩の水準を引き上げるべきだという点については賛成です。ただし、その方法は外部を一括して切り捨てることではなく、環境の違いを見極めたうえで、批評と推敲の回路をどう作り直すかを考えることにあると思っています。

そう述べつつ、実際には日本現代詩人会に対してすでに表明をめぐる意見をメールで送っています。議論そのものを拒んでいるわけではなく、必要だと思う相手や場には、きちんと意見を届ける姿勢は持っている、ということです。

ビーについて言えば、現在、詩誌の新人賞を獲得した人物が運営に関わっています。デザイナー側としては、その人物をロン毛の後継的なポジションとして想定している可能性もあるでしょう。

---2025/12/31 06:09追記---

以下は文学極道のスタッフだった夢沢那智さんが書いた note の記事の一部です。

【一口に「荒らし」と言っても色々あって迷惑行為そのものを楽しむチンピラもいれば、自分の作品がきちんと評価されていないと感じて文極スタッフに不満を持つ者、あるいはH代表や各スタッフへの個人的な恨みから粘着するストーカーまがいの人間など様々でした。中でも何人かのネット・ストーカーたちは一番質が悪かったですね。驚くべきことに彼らの多くはすでに詩集を発表している有名な詩人、あるいはネット詩の世界でのベテランでした】

この事実は、ボクにとって驚きでした。ネット詩において今もなお、そのような悪質な人たちが隠れ住んでいることはあまり信じたくはないのですが、確かにアラシめいた発言や粘着をする人たちは「権威＞ネット詩」という構図をちらつかせて新しい人たちの芽を潰そうとしてきました。

来年はさらにボクのパワーを全開にするか、それとも詩をやめて釣りに行くかを考え中ですが、それはともかく室町さんはこれからも健康＆元気でいてください。長生きして、新しい詩の時代をバッチリ見てもらいたいです。