空白の館/アラガイs
すずき のりこさんのコメント
わたしは、この『机』『時計』『鏡』が醸し出す物語の雰囲気が気に入りました。とても惹かれました。病棟待合いから始まる描写も見たものを矢継ぎ早に筆述しながらも、時の経過である末端がいつも、幽霊のように消えていくような、奇妙な捻れを感じました。形象(カタチ)を鏡写しに真似るところも、経年劣化のごとく、ボロボロに朽ちていく捻れを感じました。質問の『時計』が思い出せない。時と記憶の奥にあるもの。彼の空白。会話も、身なりも、対象も捉えて、一見、成立してそうなのに、浸食された何か、空白の何かは記憶になく、供述されえないのだから、スルスルと幽霊のように、末端が消えてゆく、だからわたしはズルズルとこの白い壁の物語に惹かれる。詩を読むことは楽しいです。誤読も含めてですけど(^^)。なにか映画のようでした。