渋谷HMV閉店に寄せて〜ロングゴーン&ロンサムブルー/真島正人深水遊脚さんのコメント
私もかつてCDショップに足を運ぶのが好きでした。足りないお金で何を買おうか、ジャケットのデザインに見入ったり、そこに書かれた宣伝文句を何度もみたり、ラジオで聞きかじったことを頭で反芻したりしながら、時間をたっぷりかけて迷い続けていました。ですので、天王寺のお店でのジャズ専門館のお話が他人事のように思えないくらいです。
確かに情報は正しくリンクすれば、あるジャンルの教養のようなものは効率よく得られます。試聴できればリスクなしで嫌いなテイストをあらかじめ遠ざけることもできます。でも、ショップの雰囲気やジャケットのデザインや勝手な期待のおかげで手に取ったヘンテコリンなものとの出会いが、固まった考え方を解きほぐしてくれたことも何度もありました。
そんなギャンブルにも似た音楽との出会い方を、そうしなくても済む時代にあえてする人も珍しいのかもしれません。でも売るためのイメージ戦略であるジャケットや歌詞カード、ビデオクリップに軽く溺れながら気持ち良くギャンブルを楽しみたいような気もしています。