近代詩再読 八木重吉/岡部淳太郎
服部 剛さんのコメント


     >息を ころせ
     >いきを ころせ
     >あかんぼが 空を みる
     >ああ 空を みる 

     八木重吉は信仰者ということで、
     あかんぼの無垢な瞳を見開いて、
     <空>を凝視する瞬間、そこに八木重吉は 
     <神>を見ており、その瞬間の緊張感から 
     「 いきを ころせ 」
     という言葉が生まれていると感じます。 

     >日をまともに見てゐるだけで
     >うれしいと思つてゐるときがある 

     これも確かになんの変哲も無い言葉ではありますが、
     病を経験した八木重吉の瞳に映る太陽は、
     目には見えないあふれるような恩寵を、
     ふりそそがれる暖かい日ざしから感じ取っており、
     その<言葉にはできない神秘>を
     感覚的に捉えている詩人なので、
     批評の言葉では図り得ない
     <詩魂そのもの>なのだと思います。

     ある人が言っていた
     「 詩人は行き着くところ、生き方です 」 
     という言葉を思い出す文章でした。