すべてのおすすめ
 
 
カモメが空を飛ぶ
カモメの目の中で
僕は溺れる
溺れる僕は
工事現場をつくる

工事現場で犬は遊ぶ
どうして産まれたのか
なんて、犬のことなど
人は気にしない

大 ....
 
 
夜、本から紙魚が出てきて
僕を食べる
文字じゃない、と言うけれど
紙魚はお構いなしに
僕の身体を食べる
だから負けずに
僕も紙魚を食べる
本当は枝豆の方が好きなのに
食べ続 ....
 
 
5と6と7は同じ価値
かもしれないし
かもじゃないかもしれないし
シーソーに乗れば
5は浮き
7は沈む
高層の建物では
7は上
5は下
この6でなし
と言えば
5と7 ....
 
 
空飛ぶ円盤が池に落ちた
脱出した宇宙人は池に溺れた
溺れた宇宙人は池の鯉が食べた
その頃、僕は恋に落ちて
恋に溺れていた
今思えば、身勝手な恋だった
鯉が溺れなかったのが
唯 ....
 
 
吐き出した言葉が
気泡になって
無人のブランコを揺らす
 
目を瞑ると
魚たちが
瞼を触りにやってくる
 
部品を捨てながら
自転車は走る
ただ一つの
点になるために ....
 
 
昼休み、お弁当を開けると
中には凪いだ海があった
これはどうしたことだろう、
と電話をしても妻は出ない
それどころか、
海の中から聞き慣れた着信音がする
海が見たい、と言ってい ....
 
 
今年も年に一回の 
メリーゴーランドが
広場にやってくる 
君は朝から鏡の前で
お洒落に余念がない 
 
僕は教わったイチゴ水の
作り方を思い出しながら 
除草剤を作った ....
 
 
眠れない羊が 
僕の数を数えている  
僕が一人、
僕が二人、
僕が三人、 
僕は増え続ける
ため息のように鳴いて
羊は順序良く
僕を整列させる
そのようにして夜は明け
 ....
 
 
小銭を持って忍び込む
生臭い二つの身体で

薄汚れた僕らの下着は
日々の生の慎ましやかな残渣
死に対するささやかな抵抗

乾燥機をかけよう
余計な水分が
涙にならないよう ....
 
 
道路の真ん中に
枕が落ちていた
枕が変わると眠れない、
という性質でもないので
すっかり寝てしまった

車に轢かれる夢を見て
目が覚めると
胸の上あたりに
ミニカーが置い ....
インド服を着た男の人が 
エレベーターの中で 
みんなに挨拶をしている 

不透明な窓の向こうに 
一律に外があるとすれば 
それはすっかりの春だ
 
古い鉤括弧は捨てておいて ....
 
 
栞の代わりに挟んでいたミルクをこぼして 
僕らはどこまで読んだかわからなくなった 
立春が来たことに気づかないまま
掃除を始めた人たちみたいに
ひどく狼狽えた気持ちになった 
 ....
君がスクイズバントをする
僕は必死に走って
無人のホームに帰ってくる

振り返ると
一塁線上を走っていたはずの君は
どこにもいない

野球に譬えるとそんな感じだ
見えない君の ....
 
 
パラシュートをテーブルに括りつけて
父が天国に行く練習をしている
深緑色のグレープフルーツを剥いたりして 
僕は君ともう少し深刻な話をしたい 
すべてがシンメトリーになれば 
人 ....
 
 
剥がれないようにして走る 
名前を失った
低い温度のままで

足元を照らす僅かな灯りを
希望と呼ぶこともなくなった 

脆い身体は既に
言葉の繰り返しとなり
穏やかに壊れ ....
 
 
夜、寝ている間に僕は 
優しい形になった 
とても優しい形になった 
とても優しい形だったので 
誰にも怒られなかった 
誰も傷つけることはなかった 
どうして昼間は 
あん ....
 
 
国境線の上に魚が死んでいた
線に沿ってナイフで切ると
両方の国から猫がやって来て
半分ずつ咥えて行った
近くでは国境線を挟んで
男たちがチェスをしている
自分の陣地は真ん中ま ....
 
 
石の言語
語られることのない
肉体の履歴

行間でさなぎは
静かに波となった

命のないものは
絶え間なく産まれ
命のあるものは
ただ数を数えた

都市を離れて
 ....
 
父が釣りをしている
何を釣っているのか聞くと
忘れたと言う
僕も隣に座って糸を垂れる
息子とよくいっしょに釣りに行ったもんだ
という話を皮切りに
父が息子の自慢を始める
小さいころ ....
 
ファミレスの床に
男の人が倒れていた
可愛そうだったので
メニューを見せてあげた
チキンドリア、とだけ言って
男の人は息絶えてしまった
警察やお店の人が忙しくしている間
僕はハンバ ....
Lucyさんのたもつさんおすすめリスト(50)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
海岸を歩く- たもつ自由詩613-6-15
紙魚- たもつ自由詩1013-5-16
5と6と7と- たもつ自由詩913-4-26
住処- たもつ自由詩413-4-14
夕暮れは- たもつ自由詩1213-4-7
海弁- たもつ自由詩1613-3-26
メリーゴーランド- たもつ自由詩413-3-21
出航する朝- たもつ自由詩613-3-13
コインランドリー- たもつ自由詩1013-3-11
桜前線- たもつ自由詩913-3-10
春の収集日- たもつ自由詩513-2-28
代理睡眠- たもつ自由詩913-2-27
ゲームセット- たもつ自由詩513-2-23
シンメトリー- たもつ自由詩513-2-22
地下鉄- たもつ自由詩1013-2-20
優しい形- たもつ自由詩1513-1-18
国境スープ- たもつ自由詩813-1-12
足跡- たもつ自由詩613-1-9
正月- たもつ自由詩2313-1-3
手遊び- たもつ自由詩909-6-19

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