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川の畔の土手に腰掛け
考える人、のポーズを取る私を
周囲で風に揺られる{ルビ秋桜=コスモス}の花も
飼主に引かれ、小道を従いてゆく犬も
みんな秋の琥珀の黄昏に包まれて
....
闇に揺らめく蝋燭の火をじっとみつめて
僕は問う
――どうすれば夢は叶う?
ふいに背後を行き過ぎる謎の影は
声無き声で囁いた
――その階段を一つずつ上るのみさ
....
追分の池の周りの
畦道は
木漏れ日の光と影が交差して
晩夏の蝉は
静かにじぃ…と経を詠む
くっきりと膨らむ雲は
絵画の空を、東へ移ろい
池の向こうの緑の木々も ....
道の先には置き忘れた
少年の靴が、ひとつ
夏の日に照らされ輝いていた。
靴は近づき、通りすぎ、遠のいて――
ふり返るとやっぱり輝いている
あの少年の靴
い ....
フロントガラスの前に広がる
いちめんの里芋畑で大きい葉群が
わらわら踊ってる
ここは、公園の駐車場。
ベートーヴェンの協奏曲が
カーラジオから
生真面目で軽快なヴァイオリン ....
深夜のベッドに横たわり
スタンドの灯の下には
無数の塵が舞っていた
日中は見えないものも
照らされて姿を現すように
静まり返った街の夜空に
無数の(見えないもの)は
....