あけましておめでとう
そして僕たちはそのように死んでいく
あけましておめでとう
死んでいくのではなく殺されていくのだおそらくは
お互いに
殺されあいながら
あけましておめでとう
生き ....
料理を注文する君の声が
空気の振動のような透明さで店内に響く
放っておくと月明かりしか入ってきませんから
と、ウェイターがカーテンを閉めていく
中央のテーブルでは座高の高い男が
大声でメ ....
センスのいい人のタイトルとか見てると感心しちゃって、「自分にはセンスないからなぁ〜」って思いがち。でも、タイトルってセンスだけじゃない。知識、知識。普段から、色々なことに興味を持って知っていくことが ....
銀河の向こうには
銀河を超えた何かがある
造られた自然がある
華奢な蜃気楼がある
あの星の向こうには
広がる星空がある
傾いた調理場がある
晴れ時々夕立がある
夜の向こうには
....
男の部屋なんて
臭くてオナニー三昧だ
自分ではわからない臭い
自分の臭いしか返ってこない毛布
畳にころがった週刊プレイボーイ
ビデオを借りに行くほど熱心じゃ ....
失礼
ギブミー
ア・ペーパー
ア・画用紙
ア・羊皮紙
ア・ケント紙
ケント・デリカット氏
ケント・デリカット
デリカット?
デリート・カット
デリケート・カット
デリシャス・カッ ....
かつて
わたくしは
花、だったのですよ
よろしければ
咲いてみせましょうか
と
言うと
水、のようなそのおかたは
しなしなとゆびを左右に
ゆらして
ていねいに
それをこばむ
....
おかあさまが わたしをころした
おとうさまは わたしをたべてる
私が悲愴にも似た決意のもと食卓に赴くようになったのは
いつからだろう。かわいそうなグレーテル。父と母と兄の
待つ戦場へ抜 ....
覚えたての九九を妻が口ずさむ
大切なものは奪われても
忘れなければいいのよと妻が歌う
夕暮れ前に一瞬空が明るくなり
テーブルのりんごやみかんやバナナが色を手に入れた
頬杖つきながら
文 ....
細い月のような{ルビ眼=まなこ}で
わたしを見上げ
気怠い午後
ちいさな女の子は
においで愛をおぼえ
耳、伏して
鼻、冷たい鼻
しっぽは昼間にある月を指して
わたしは、その背中 ....
燃える雲。
ゆっくりと火元はかすんで。
空腹だけは真実だ
R246、クラウンのシートにてやや傾く
高架下の信号待ちでスパイラルカフェの
ランチについて考えている
急発進がサイドブレーキを促す
再び加速
する、欲 ....
そこはドーバー海峡だった
ぼくたちはリヨンまでカーフェリーでゆくのだった
ぼくはその船のなかでコロンビアの船乗りさんと
仲良くなった ふたりはビールを飲みながら
ざつだんし ....
明るく光る曇り空がある
一面の白さで空に張り付いて
いつまでも剥がれ落ちない
降るなら降るではっきりしろ、と
郵便受け一杯に愚痴をこぼして
傘を選ぶ
すっかりと
沈黙した窓辺を通り抜 ....
愚かにも駅の天井を何故
消化器官に似せてしまったのでしょう
そこでは、羽音震わす蛍光灯
その仄青い痙攣から逃れ切れず
静かに分裂した影の群れが
仄青く集う硝子、地下鉄のドア
....
絵を見るときは絵だけを見るようにしてます。すごいなあとか、いまいちだなあとか心の中で思いながら。絵って要するに平面における色の配置なんだけど、すごいなあといまいちだなあとに(程度の差はあれ)全く分かれ ....
1.
青みはじめた空気のなかに
屋上がある
どごおんどごおん と
風が啼いていた
それは歌でも言葉でもなかったけど
確かに何かがわたしを呼んでいた
太股にナイフをあてる
出 ....
鳴り響くパソドブレ
小さな扉が開いたら
まっすぐに駆けてゆくから
今、一番の死をちょうだい
マタドールとまた踊る
紅い波が憎らしく
私は私の方法で
あなたをもっと振り回してやる
....
無機質な箱の中での通話は十円分の自由
羽だ自由だ言ってる横で足もない人が翔んでいる
メルヒェンのヒェに隠される毒りんご
カウボーイは帽子を脱いでたくましい ....
砂塵に覆われたコンクリート
目を凝らせば
ほつれ落ちた枯れ枝、その向こう
目を凝らせば
灰皿代わりだった冷たい赤い一斗缶、その向こう
公園を閉じ込め続ける鉄条網、その向こう
澄 ....
聖地の方角へ向けて祈る
巡礼者のような面持ちで
私は此処に立っていた
星たちの第五待合室
そこにある伝言板に
私が一行書き加えると
誰かが四行詩で返信する
....
ドトールで女と待ち合わせ
といっても携帯時代
正確にはドトールで女の連絡を待っていたが
まるで、連絡が来ない
ドトール地下のライブハウスでは
メロコアバンドが「青春」について叫んでい ....
壊れた窓枠に夏草が絡んで居る
肺の中に迄拡がって其れは
あたしの息の根を止めてしまう
「廃墟は未来だ」と云った
行く末を知って居るかの様
不変なものなんて無いのだろう
空の ....
イカロスときみに呼ばれた五月から芽吹きだしてる背中のつばさ
滑走路駆けるあなたを追い駆けて追い駆けられて閉じてゆく恋
鋼鉄の翼たたまず夜を待ちどこへ飛び立つ思春期の冬
無 ....
雨の日には
誰かの心がおわる
かつて夏の日に
鳥がいなくなってしまった
残された鳥籠のヴィジョン
死滅した都市だけが
優しい思考を生きてゆく
連続する雨音に
途切れがちな呼吸のリズム
頼りない影を投げ出して
傘を忘れた人が
部屋で泣いている
電線の滴が地面に落ちる瞬間
....
兄は云う
この井戸を掘り返してなるものか、
と。
野井戸はけして深くなく、
雨水が満ちているのだが。
野井戸はすでに開かれて、
....
私のシガレットケースから
ひとつ 拝借した友は
煙草は二十歳まで
と笑った
今年 彼は幾つになったろう
豚の像に戯れにさした煙草
うまそうだな
と笑いあったことを思い返す
....
ようかんを冷蔵庫で冷たくしてから蒸らさないようにガーゼに
包むような通信手段で 水に溶ける紙を400ダース。
食物連鎖の卑猥なリズムでくちばしから代わる代わるウソをコーラで。
2000の価値 ....
どうにもやるせない自転車です。雨水の玉つぶてなサドルの革を「そうでもなく茶色だ」と言って、拭き取ればままよ、と走りました。光、スロウ、アウェイ。そして溶解するするりとした残像を肴に、ウィスキーに言い訳 ....
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