すべてのおすすめ
あなたはごはんみたいに
真っ白であったかで飽きない
あなた無しには生きられない
あなたがライスき
ナイフを手に入れろ
くすんだ景色を切り裂くために
ほら こんなに青く 世界は
青く燃えて たゆたい――
ナイフで胸をえぐれ
にぶい痛みを消し去るために
ほら こんなに紅く おまえは
....
「あたしね、原料
トウモロコシ(遺伝子組み換えでない)
の表示を見て思ったのは
あたしの原料、人間(遺伝子組み換えでない)
で正しいのかなって」
「どういうこと?」
「あたしの ....
冷たい窓ガラスに
一匹のヤモリがいた
わたしとヤモリは
互いの存在を
ほんの一瞬で認め合う
空気がほんの少しだけ
動いた気がした
目が合ったのだよ
確かに
あの時
人間と虫
....
〝おれは頭はいいが狩りは苦手なんだ〟
ジェンマは呟いた
〝誰にだって得手不得手があるってもんさ〟
同じ年に生まれた若い狐たちからは
「下手くそジャンマ」
「まだ一度もうさぎを捕まえたこと ....
木々があいする木漏れ日のこと
川がめでるせせらぎのこと
雨が求めるつちの渇きのこと
太陽がほしがる水溜まりのこと
夕日があこがれる水平線のこと
朝陽がのぞむ暗やみのこと
....
玩具売り場の前から幼児の泣き声が
人の溢れた地下街広場に響いて
若い夫婦の困惑が子供を叱る
幼児と親と対立する主張は
地下街の雑踏を立ち止まらせ
黙らせる
己の主張が通らない ....
人を、愛、する、 ということに、疲れて、しまった、人の
愛、している、というものに 縋りってみたくて 家出した
「し」はいつも隣り合わせに居たし
高速バスに頬づえつく、くらいの、考え ....
勝手に死んでしまった猫が
地面の下で 魚が食べたいという
いくら魚が食べたいと思っても
ここにあるのは石っころかミミズかモグラか
去年あんたが埋めた三輪車くらいなのだからと
しつようにしつよ ....
人には全裸になっても
見えない部分があります
隠しているわけではありません
母は江戸と背中を見て死にたい
と言っていました
その頃
江戸はもうありませんでしたけれど
背 ....
水槽でメダカを飼い始めたのが今年の5月
10匹いたうちの7匹はすでに死んでしまった
ペットの飼育に詳しい同僚の早川君に
7匹のメダカの死因をたずねたら
きっと子供をたくさん産んで力尽き ....
ローソンの袋から
ひょっこりと顔を出した
りすが
夜空を見上げながら
しんみりとした調子でぼくに話しかける
こうしてさ
息をころしながらさ
今も俺は
夢を見てるんだよ
お ....
はらはらと、風に揺られて
前方に、無数の枯葉等は舞い
鎌倉の湿った土に降りつもり…
旅人はぬめり、ぬめり
幾世代もの黒ずんだ枯葉等を
踏み締めてゆく
両側の
崖と崖を削った、一本 ....
コカ・コーラの缶とペプシ・コーラの缶が
深夜
ゴミ箱の底で睦言を交わしている
互いの肌の色を褒めそやし
互いのバーコードの形を讃え
標準化されることのない個別の愛 ....
陽の当たらない玄関の
下駄箱の上に置かれたガラスの水槽
その中に金魚が一匹
夏の宵
太鼓の音や提灯に囲まれた広場の
入り口で掬い取られて
運ばれてきた
たくさんの兄弟と泳 ....
もうずっと遠い昔に
絶望から一歩を踏み出して
歩いてきた僕だから
これ以上裏切られることもないし
やけのやんぱちにもならない
光りあふれ
花咲く道の途切れる先に
真っ暗な口を開け
....
教育を受ける権利
発言する権利
投票する権利
を放棄する自由
国民主権
平和主義
基本的人権
を軽視する自由
歴史の途上で
辛酸と苦闘と犠牲の挙句
民衆が手に入れてきた
....
ピース、ランドセルのぼくらは歯科医院があくまの要塞だった
痛みもかなしみもいつかぶっつぶせると思ってた
竹馬にのりたくて血豆をつぶしながら
太陽にゆびさきふれた、ふれたぼくらはピースをした
....
都会の住宅街の歩道を 年末を迎えようとする空から
心臓に刺さる零度の雨が 濡れ落ち葉にも突き刺さる
若葉だった頃 親木が大切に繁らせた「父」という葉は
厳格ではなく 風が吹けば吹くまま ....
私の知らないところで
私の吐いた言葉がトゲを持ち
誰かの掌を刺す
私が投げかけた一言が
誰かの心の壁に
釘で打ちつけられたレリーフのように
いつまでも掛っている
私がそれを忘れた後も ....
それなりに成績は良いほうだけど、
発想力とか推理力とか、
所謂持って生まれた知的能力はおそらく平均以下。
それでも頭良い人の振りはできちゃうの。
最近読んだ本に小難しい小説を挙げてみたりね。
....
わんわんと吠えるのは我が心
わんわんと泣くのは我が犬
わーんわん
わーん、わん
哀しい犬があとをついて来る
泣きながら、
涙を流しながら、
犬の涙は人と等価なのだろうか
その涙 ....
私たち車がひいた猫を
カラスがたべている
むらがって
黒くそめてゆく
猫がカラスになってゆく様を
車のわたしはみていた
もみじは
まっかにもえていた
すべては
音もなくは ....
山を背にした集落の
家家の屋根から突き出た鐘楼ひとつ
奥の旅を終えた芭蕉も伊勢に下る船上で
この鐘の音を聞いただろうか
港のあったこの集落に都会の風が吹き込んで
集落を縫う曲がり ....
わたしのことは
いくら非難してもかまわない
でもわたしの胡桃を悪く言うことは
許さない
絶対に許さない
確かに今となっては
何のために存在しているのか
自分でも分からなくなること ....
妖怪
都会の妖怪は
昼間に出るらしい
夜は明るくて
隠れる場所が無いから
たとえば
人の途絶えた午後
ビルの屋上に出るドアの
前に佇む影
あるいは
休日の事務室に ....
ネアンデルタール
ホモサピエンスと共通の祖先からのフォークか?
議論は絶えないが、少なくとも「人間」だったと思う。
膝を抱えた体勢での埋葬と献花。
暴力的では無いがゆえホモサピエンスに滅ぼさ ....
僕はどうしたと言うのだろう
誰もが帰宅した夜の事務所
好きなOLさんのいすに座り
彼女のカーディガンを匂いながら果てた
その後始末のティッシュの処理を
思い出せないでいる
ちゃんとトイ ....
末の娘は末の娘なので
どんな失敗をしても許されます
開けてはならない箱を開けてしまっても
池の水をうっかり飲んでしまっても
くしゃみしたあと神の名を唱えなくても
閉じてはならない扉を閉じてし ....
おじいちゃんが
台風が来るから
窓に板を釘で
打ち付けるんじゃと言い出した
サザエさんマニアで引きこもりの
お兄ちゃんも同調し
二人で作業しはじめた
お父さんもお母さんも
同じ病院に通 ....
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