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しびれるように今日は
明日を失い
昨日を失い
昼夜を失った
羊の目をもつ鳥が落ち
布を裂く音が縦に響き
誰かは誰かを失った
ぎりぎりの分別に
長くのばした爪を引っ掛けて
....
0が1を
たべつくして
朝になっても
明るくない
うすく凍りついた水たまりを割ると
世界の底で
あなたがスープみたいに眠っている
あなたはいちども
わたしを愛さなかったけど
あの
朝とも夜ともつかない暗がりに
わたしともあなたともつかなくなったどろどろに
手を抜いたこともなかった
かわいそうに
いつまでも
....
こわくない
冬なので
こわくない
ビタミン剤あるから
ぜんぜんこわくない
花柄の靴したを
いつもばかにされても
構わないで履きつづけていた
ななちゃんは9歳だったのに
勇敢だ ....
夫の恋人はわたしよりすこし背がたかくて聡明な肌をしている
恋人の妻はアイロンがけがうまい それしか知らない
鳩も恋をするんだろうか
箪笥や窓枠も恋をするのかな
わたしの目はどうして
いつ ....
音は雪に食べられてしまい
部屋は
かえって生きものの息づかいでみちている
台所の戸棚のなかで
じゃがいもの芽が伸びてゆく
張りつめた胸の皮膚のしたを
薄くなった血がめぐっている
....
あなたがむかし
わたしにつけた縄を
こんどはわたしが
あのひとに結びます
雪は屋根のうえでだらしなくなって
白がすこし疲れたようす
毎朝 沸騰する
わたしの身体を知らないでし ....
夜中
息をひそめて
折りたたんだ気持をひろげていく
広げきったら折りたたみ
わたしが
きのうのまま
朝を迎える
1000日まえに
あなたがはじいた額のうぶ毛が
わたしの下腹であわい振動となって
いまではすっかり花のよう
つぼみとも種ともつかぬ時間が
おいしい毒になって
いつかあなたにも届くと ....
しかくい青さに煮出されるみたいにして泳いでいたあの子がいまはほんとうに
ま緑色になってしまった、泳ぎはかわらないが
ちらちらと遠くみえるのはかなしみだけであった
あんなに、なんども
きれい ....