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はらはらと舞うぼたん雪は
遺された女たちを労わるように包み込む。
「パーッパッパー。」と高らかになる霊柩車のクラクション。
それは多分
物言わぬ父が告げたさようなら。
白 ....
温かな人肌が
冷たく・硬くなっても
置いた手の感覚が無くなりそうになっても
その場から離れることは出来ない・・・・。
(あったかいなあ。お父ちゃん・・・・あったかいなあ・・・・ ....
開かれた扉と
銀の台に置かれた白い破片。
崩れながらも形を残すそれは
熱い熱いと焼かれていった
愛する父の姿であります。
「お父ちゃん、お帰り・・・・。熱かったねえ・・・・。」
....
「知られずに、終わる物事はかわいそう・・・・。」
見切りをつけた恋。
桜の咲かない受験生。
(地図・コンパス・羅針盤)
アナログ人間だと言う、男の手作業は正確で
ほんの少 ....
物作りという仕事には
終わりも・崩壊もありません。
そこに生きる人々の手作業で
長い間守られ
今日(こんにち)迄
続けるという心があります。。
(人の生活を、より豊 ....
大根をすりながら、君が笑う・・・・。
好物の蕎麦を茹でて
かつおだしのつゆを、ほんの少し味見をして
君が笑う・・・・。
「冷やしは、二玉いける!。」
ざるの上に海苔を散ら ....
餅を食べ過ぎて、ジーパンがきついので
「お腹が、いっぱいになった。」と誤魔化して
近所を走ってみた…。。
子供らが、親に急かされて車に乗っている。
若い男と女が、手を繋いで駅へと ....
生まれて来ることの無かった叔母さんの魂に
「どうぞ召し上がれ。」と
今年一番の桃を
ざるいっぱいにお供えした。
蝋燭に照らされて
光沢を放つそれらは
早く食べてもらいた ....
(御巣鷹山。)
やさしさに守られる
緑の視界・・・・。
520の御霊が
静かに眠っている。
尾根へと続く道中で
何かに触れたと感じ取れば
いくつもの墓標は
....
そこにいる・・・・。
理由は無く
考えるでもなく
説明でもなく
言い訳でもなく
求め合うかのように・・・・。
(ここにいる/そばにいる。)
近くにいるという予 ....
すり抜ける右手と
後ろ向きの背中
静かに見送りながら
小さくなるのを待つ。。
(断ち切れなかった、未練の様。)
すれ違うカップルの声が
右手と同じ様にすり抜ける。
....
ふんわりと甘いケーキの向こう側に
笑顔が見える。
おめでとうの一言と拍手で
喜びを感じ取る小さな手は
一つ二つと繋がってゆく。
(幸せなひとときを感じて、
ほおばる ....
最後のお礼にと
クッキーとケーキを包んで
挨拶に来た。
他のところへ行こうとも
必ずに回る営業時間に・・・・。
伝えることも無く
伝えたいことも無く
シンプル ....
煙草をふかす、君の横に腰掛ける…。
雪の東京を見つめる最中
寄り添いたくて・寄り添いたくて
ケータイをいじりながら
横に腰掛ける…。
「寒いね…。」
「うん…。」 ....
「つけ麺、大盛り一つ。」
ズル・ズル・ズルズル…。
柚子胡椒・七味の刺激を浴びて
黒ブチ眼鏡の君の声を聞きたくなりながら
太麺をすする。。
(一緒に、太麺をすすりたい。。)
....
『ありがとう。』が飛び交う、広い浴室。。
「背中、流しますよー。」
くしゅくしゅと泡を立てて
労る様に背中を流せば
全身左麻痺のかずちゃんが呟く。
「お風呂に入ると、生き ....
風呂に入るという行動は
懺悔をするためなのだろうか?
それとも
生まれたての赤子のように
新しい1日を送るためなのだろうか?
アウトプットの刹那
狭いバスタブで湯に ....
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