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昨日までは夢だと言う
あなたは夏に向けて静かに融解していく
水をたっぷりと含んだ世界で
それはとても自然なことのように
梅雨の中にいる
紫陽花が咲いた
午後にゆっくりと傾斜 ....
森の中で月を見て
青さ静かに、目に染みていく
あるかないかのカーブを
そろり、ふわり、降りていく
静かに、選ぶ言葉に僕の
音はどこかで回り続けているか
泳いでいるのは、あなた
そ ....
そっと、暮れそうで
暮れない
一日はどうにも循環していて
頼りない電信柱
寄り掛ると揺れる、気がする
静かな平面の畑から
土の匂いがした
単調な起伏を
ごとごとと越えていく
浮き ....
夕日は傾く時間を知っている
その頃になれば
世界がゆっくりと閉じていくことも知っている
背中で、背中ともたれあう
隙間の部屋
四角いスイッチで昼と夜とを切り替えて
のろのろと、立ち上がる
....
夜の真ん中の
縁をなぞりながら
影だけの月の
少しだけ零れる明かりを
晴れることの出来ない日
ここでも
傘だけは、ある
夜に、越えられずに
息の詰まる深みを
ゆっくりと
息を入 ....
駅前で
ギターで歌い続ける少年の
声を誰も覚えていない
ギターの音色が日付を越える頃
繰り返している月のかたちを
誰も答えられない
すっかり冷えきった自動車の
エンジンをそっとかける
....
色付いた葉が落ちる音、が
聞こえるような
そんな
ある日
静けさは、遠く
連続している朝は
同じように連鎖していた
ありふれている
一杯のコーヒーを
少しだけ苦くした
新聞 ....
一時間に一本だけの電車の中で居眠りをしてみると
回想の中で自分の自分に逢えるので
もう一度と思ってみても
一時間に一本なものだから
すごく困ってしまう
ぼくらは、たまに
どうしよう ....
混ざり合った夏と秋
蝉の声は草の裏
公園に砂場
さらさらに乾いて
吹き飛ぶ
子供の目線
詰まっている
遊
風化もしない
流れもしない
とどまった
ままで
混ざり合っている今 ....
泣き虫だったあの子は今どうしているだろう
と
眠いだけの午後の中で
当てはまるように浮かんでくる
絡まりそうな思考を
かき分けるように居座る
昔、記憶
ひとつ
指切りで交換した約束 ....
遊星の昇る日
空の縁
半円を描いたら
落ちていく
時々振り返ってみたり、見上げてみたり
大通りの騒音がすっかり馴染んでしまったせいか
空の動きのほんの少しなら、気にならなくなってい ....
それを
望んでいると
思ったばかりの
ところに
球状の
破裂しそうな
言い訳が降りてくる
透明な空には透明な線がある
らしいけど
雲に紛れて今日も見えない
東経139度北緯35 ....
散歩の途中で
くしゃみをすると
塀の向こうから犬に見つめられて、困った
立ち止まって見つめ合ってみるけれど
悪いことをした
わけではなく
少しだけ難しいことを
難しく考えてしまうから ....
流れ込むように
止まれない足元は
回転する音を
通り過ぎた重みを含ませながら
響かせている
夏に
焼ける
アスファルトが靴底を溶かしている
積みあがる積木の街
冷めないままで
....
逡巡
ほんの少しの間隔で
手をつなぐ
手をつなぐ
街の角での深呼吸
こんなに苦い空気でも
こころは深く平らになる
よく晴れた日
取り残された月を見つけて
一秒
一秒を
見 ....
どうしようかと
暮れている一日
些細な段差に躓いてみたり
心の縁を爪弾いてみたり
火の上で
ゆれるやかんに
お日様が降りていく
じゅっと
音を立てて
沈んで落ちていく
....
点と線と千
繋がらない夜があって
道に迷っては
迷いっぱなしになる
街灯は
月明かりに似せようと
目には見えない点滅を繰り返すけど
足元を照らすには
まだ足りない
らしい
....
僕の隣を35度線が貫いていて
本線から外れたところで
あなたがうつむいていた
ような気がして
振り向いてみると
変わらずに
距離は隠してしまう
あなたの隣を36度線が貫いてい ....