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ヒツジが眠っている
先を越されてしまったので
きみはなかなか眠れない
ヒツジの夢を追いかける
かすかに指のさきが温かい
温もりはだんだん体じゅうにひろがり
いつもの草の道に迷いこむ ....
「木の物語」
きょうもまた
あの木のてっぺんにいる
あれは多分ぼくだ
ぼくの知らないぼくがいる
忘れていたのかもしれない
ぼくがすっかり忘れていたぼくがいる
だから懐かしい
....
きょう
夕焼けをみていたら
いきなり空が
あかい舌をだした
空よりもずっと
遠いところ
飛行機にのって
バスにのって
橋も渡ったのに
ここは山ばかりなのね
と少女はいった
....
そのポストマンに
ぼくが初めて会ったとき
彼はひたすら
ラブレターを書きつづけていた
その時はすでに
ポストマンではなかったけれど
いちにちに
白い氷の丘をみっつ越えるんだ
と ....
祈ってあげてください。
とつぜん、そんなメールをもらった。
かれが重篤だという。
かれは もう ひとりの みちを あるいている…
かれのことを、詩友といっていいかどうかわからない。
....
古い家の
納戸の隅とか仏壇とかに
小さな暗やみがいっぱいあったけれど
おばあさんがいつも座っていた
土間につづく台所にも
深い暗やみがあった
その暗がりに何があったのか
覗いたことも ....