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濡れている足は響かずに沈む
ただ長雨が叩く水面の下
黒衣を纏う葬列は
禁欲者の残骸を掻き集め
漆喰の壁に塗り込める
墓碑銘もなく
知らぬ人が緋文字を記す
生の環の外周で
水 ....
海底に直立する卵には もうひとつの海が詰まっている
明け方の海に 平板なアルミニウムの光
その皮膜を剥げばダイナモが唸る
液状化した肉質の中心で 黄濁する眼球は閉ざされたまま
瞼の裏側で ....
五月の終わり、六月のはじまり、雨、雨上がり、雨上がりの、街。
咽る光、光、に、蜂鳥、蜂鳥がゆらぐ、ゆらぐ、かすかな影、その残響、翳る、光、黒揚羽。
揚羽蝶、焼く、焼ける、焦げる、黒く、霞む、目 ....
石を拾い、犬を殺す日
空、均一に青く、好天、犬を殺す日
石、両手に握り、廃屋に繋がれた犬を殺す
影のない僧侶が舌を噛み切る日
絞首架の前に花を捧げる日
缶詰工場の焼け跡で彼女の右 ....
人の向こう側に横たわる人よ
横たわる人を跨ぐ人よ
潰された眼は見ていただろうか
白く透ける少女の抜け殻を
地下水脈の夜光虫を
皮膜に隠された結晶体を
地は焦げるほどではなく ....