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曇天より雨粒が落ちる
空中でその一粒はふるえたわみゆがみ散り
ながい無重力感に沸き立って落ちる
ふとかたわらをみれば
そこここに
ふるえる塊
ふるえる塊
ふるえる塊
塵芥混じりの水滴
....
あおしんじゅの森は
樹海の森だったし
あたしはその結晶を とても美しいと思った
粒の小さい 白い涙のようなそれは
体に悪いと知っても
飲み込み続けるよりなかった
ゆるい雪のよう ....
黒が透き通る世界に
いろんな音が混ざりこむ
犬の寝息
もれる電子音
そして、一瞬しんと静まる
夜の音
星の瞬き音に呼び止められ
黒と混ざり合った空を見上げる
逆さに ....
道の先をいつしか
岬と呼ぶのでしょうと
白い幾万もの手が
砕けては戻っていく
届かない場所に
北端という称号を与えて
みんな満足して
羅針盤の声を人は夢に見るのです
根無 ....
まがいものは 百年もたぬ
詩語は 意味をはこばない
わたしらは 修羅であるから
もとめあいながらも ついに
手を むすばない
文化村通りを
僕は歩く
散開する人々
人々
人々
人々の群のなかを
自分を縫いつけるように
錯綜して
目的は
失せもの
探しもの
買い ....
あの太陽を挑発するように
空に向かって主張する
大きな大きなくらげ雲
這い上がる排煙は
この世の隅々にまである希望を巻き込んで
絶望色に空を染める
その触手に刺された先に ....
雨が降る
今 打ち付ける
僕は
水になる
空に
川に
海に
君の涙に
僕はなる
霧に
吐息に
地球に
最後は君に
充血した太陽が
嘲いながら昇り来る
私はカーテンのない窓に身を潜め
涙を流しながら鶴を織る
畳からぢわりと火が漏れる
天井からぼとりと火が垂れる
侵食は涙をも喰らい去り
鶴は鮮や ....
さらさらと、ワルツを集めてる
頭を垂れたワルツを
集めている
真冬を凝縮して
少し熱っぽい朧な
器官の彼岸に
赤や紫を
粉々にして
昨日の電話口から溢れ出した ....
夢見るよな白昼夢。
(そばにいる君の名前が思い出せない。)
それを知らない人からみたら夢でしょう、なんて馬鹿にするだろうね。
ゴッホの世界のよな君に、左耳を送り付けていた ....
光の中で 君の中で死んでゆきたい
目を閉じても尚闇が訪れないくらいの洪水のやうな光の中で
折れるくらいに強く
君に抱き締められて
眩暈がするほどに満たされたなら
不意の終 ....
血、が、
腹の上にこぼれてとどまる
暗い おまえの血 月がこぼした おまえの血
おまえは笑っている
自分からこぼれ出た色の美しさに
おまえは目を見張る
血、は、
....
火を付けて、
風で煽って燃えだして、
手に負えなくなりましたか。
静かに見守り心を痛め涙を流しているのですか。
涙で火は消えますか。
ほら。
....
森を歩く
一人きりで
冬の森を
霧雨の中を
凍える手は
いばらをつかみ
血が流れる
痛みを胸に
胸の痛みは
置いてきたもの
馬鹿から始まり
今は世界
....
想いは儚く
残す轍 遠き道のり
荷の重さ 辛く、
そぞろ立ち止まっては
見上げる空の哀しみの果て
日ごと人目に
焼かれる背の
痛みさえ忘れる夢、
また夢の夢
花に狂う、
....
恥ずかしいことに
世界がこんなに醜いなんて知ったのは
長いこと生きてからで
そんなことも感じず
のうのうと
幸福で腹を満たし
偽善で呼吸し
精錬潔白を詠っていた
自分が
一番醜い ....
綴れ織りなす
時空の 間に 間に
故郷の町並みに
そっと 滑り込ます
私の思いの織り糸
ざわめき きらめき
綴られる 時に
陽光は静かに 背を押し 旗めく
息の鎮まれた ....
傷負いの翼が空を掴む
歪な円を描きながら
しがみつくように飛んでいる
鳥が自分の真上を通る
降ってきた水滴
鳥の血、静かなぬくもりを持って
空には鳥がいた
これから死ぬであろうに ....
用がないのなら蔑んでほしい
花瓶に毒薬を満たしてほしい
洗浄された小さな濡れた手を無造作によこして
あの虜囚の唇をバラバラにしてほしい
街頭の窓からそぞろ歩きする骸骨をみたんだ
そいつは ....
君は失ったものよりもより多くのものを手に入れたと言う。
「よかった」
君は微笑んで甘い盲目感。
ぐろすぐりとねとりと光る唇で紡ぐあいのうた。
ほら、あたしはあなたがいなけれ ....
魚の眼はにこごりの眼である
滓々の溜まり水である
魚の眼はあらゆる向こう岸を
私より先に見に行ったのである
白色の食卓で対峙したそれに
容赦なく朱塗りの箸を突き刺して
ぺろりと平らげた ....
眼球の瞳孔に厚い膜を張り詰めて
下界から自身を遮断すれば
仄暗い靄に包まれた視界
赤橙色はくすんだ山吹色
些か綺麗な気もするが
疲れたからしゃがみ込んで
誰か待つような背中で
霞んだ ....
あなたがいつまでも
空の切れ端と手を繋いで眠るものだから
私は枕元でやわらかい髪を撫でるしかない
頬を寄せれば懐かしい夏の匂い
あなたの瞳の色と
私の夜の海のような色はよく似ている
....
?…
その子供は「羽が生まれつきなかったから飛べなかった」と言うのですが、羽など誰にも見えるものじゃあない
。じゃあ、青年はその子に尋ねました
「君には他の人に羽があると思う?」
す ....
長短の夜に君に出会った
優しく微笑んでいた
実体の持たない感情
無理矢理に形に表そうとするなら
君を抱くこと
つまり、愛?
やわらかな陽射しが窓ガラスをすり抜けて
....
?…
駅前の赤い
陽射しが街の風景を
揺らし燃えている。
一人で電車を降りると、
少し離れた鉄橋に後姿が
見える。
その人は太陽の
逆光を浴びて
黒い影を
浮かび上がら ....
見ればただの形にも
深く意思が根付いている
轟く大気の右隅から
いつか彼らの神がやって来て
古い感傷を一新する
そばで見ている私は
戯れた瑠璃の幾変化
覗き込んだ
水が滴る空桟 ....
車窓に映る
男の姿が
昨日よりも
薄くなっていて
山だか、海だか
分からない
暗闇の中の光が
街明かりなのか
船明かりなのか
分からないでいる
夜から朝へ
鈍行列 ....
夜、
左の肩甲骨に
小さな傷が生まれた
羽根でも生えてくるのなら
わたしはきっと毟り取ろう
朝、
柔らかい霧雨が降ってきて
わたしは傘を捨てた
強く責めるなら抵抗もしたけれど
....
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