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春の約束
永遠に叶わない約束
散るときを知って
失墜しながらそれでも
対の自分をさがす
さがし逢えたら手を繋ぐよ
ひとのまばたきより短い時間を使って

もしも一対になれたら
空へはば ....
雨戸を閉めようとすると
足音もなく猫がやってきて
そのレールの上に座る
木製のレールは
約束されていたようにすでにささくれだっていて
座り心地はおせじにもいいとはいえなかったろうに
猫は
 ....
麻の半袖ワンピースを
さっぱりと洗い
捨てる時を伸ばし伸ばしにしていた
サンダルに永遠の別れを一方的に告げる

風鈴は日曜日の新聞紙でくるみ
青いペディキュアを消す

扇風機の薄い羽根 ....
この世でいちばん大きな生き物は何だとおもう?

暮れゆくばかりの秋の問いに
ふとたちどまる
たちどまることは忘れがちだけれど
時折とても大切だから
スニーカーの靴底で
きのこをおもう
 ....
Mrs.アリスの物干し竿には
百年前から着古したシャツやらが
のんきにぶらさがっている

逃げたカナリアの幸せを祈り
野良猫は低く鳩を狙う
公園はひっそりと
今日も来ない子どもを待ってい ....
白くてぼんやりしている一日
読みかけの本は表紙から冷えていく
犬はどこどこ毛を生え換わらせるから
死んで右往左往している夏の毛を集めて
新しい子犬として
毛糸玉に魂を吹きいれる魔法の息を
 ....
父母が買った墓を見に行く

高台にあるそこからは
海が見渡せ
なんのわずらいもない風が吹き渡り
小さな飛行機が雲間に光る

このお墓に入ったら
この景色を見て暮らす、という母に
いい ....
秋の横顔は
暮れる空を向き
旅立ってゆく鳥の影を
ただ見送っている
あなたも早くお行きなさい
手遅れにならないうちに、と

バスは来た
回送だった
けれどいったいどこへ戻るというのだ ....
ほこりをかぶっていようといまいと
食品サンプルは食べられない

蜘蛛の巣に囚われた
きのうの夜の雨粒たち
夕刻にはその存在ごと食べられて
また空へ還る

バナナの黒いとこは
食べられ ....
台風のあと散らずにいた
白い小菊の花びらの中に座り
濡れた髪など乾かしながら
やっとひとごこちつく
清涼な香りに
生き返るここちする

草むらで横たわった猫は
生き返らなかった
その ....
夜のまぶたは
だんだんに重くなる
(誰かの優しい手で撫でられているから)
歯磨きのミントの香りもなくして
完全にこの世界が閉じられて
安らかな眠りを得るまで
安らかな死というものを
ふと ....
たいふういっか

台風一家だと
思い込んでいた頃

台風が去った朝
通学路には
一家が遊んだあとが
残されていた
なぎ倒された空き地の草
折られた柿の枝
おしゃかになった傘
 ....
{画像=120618103300.jpg}

断面を滴り落ちる雨粒はあの日に還れぬ哀しみの匂い

断崖を打つ荒波にとびこんだペンギンたちまさに今とびこんだ

鳥。飛ぶことだけを目的に骨の密 ....
雨の日に
西瓜をノックすると
入ってます、と声がする

ぽこん

西瓜まるごと持つと
かなりの重量感があるのに
成分はほとんどが水なんだってね
ふうん、そうなんだ
果物を食べると
 ....
雨の日は
透明傘がいい
値段の気安さがいい
ドームの曲線を
雨が流れていくのを見るのは
誰かが
泣いているのを
見ているようで
そんな後ろめたさもいい
そういえば女優でもないのに
 ....
忘れていたわ
時の砂は音も無く
ふりつむ透明な悪魔だってこと

どこへいようと
逃れることはできない
生の終着駅が死であることから
逃れることはできない

気づかぬうちに
若葉は枯 ....
さやつきグリンピースを買う
今年も
豆ごはんを炊こうと
薄緑色の愛らしい洋服ごと買う

冷凍グリンピースは
便利なのだろうけど
買おうとは思うわない
この時期限定で出回る
さやつきグ ....
おじいちゃんと森で薪を拾う
僕が手当たりしだいに
背負子に放りこんでいると
そいつはまだ早いと言う

幹を離れてまもない小枝は
水分を含んで
みずみずしい
生木の範疇を出ないものは
 ....
{画像=120529154724.jpg}
気温が一度上がっただけで
庭は目覚め
今夜は舞踏会だと
シロテンハナムグリが伝言する

白薔薇が
今まさにデビュタントに
踊り出そうという心 ....
犬の眼をじっと見つめていると
黒々としたその瞳から
哀しみだけが
滲んでくる

犬は
なぜ自分が犬であるかを
きっと知っている
遠い昔
野生を
人間の為に捨てた存在
自由よりも不 ....
六月の花嫁が
投げたブーケが
放物線を描いて
確かな意志を持って
わたしのほうへ
向かってくる

『ブーケをキャッチしたら
幸せになれる』というフレーズは
もちろん知っていたけれど
 ....
よっぽど
おなかすかしてはったんやなぁ、おつきさん
おひさん
たべてまうなんて
よっぽどやな
やけどするで
くちんなか
べろんべろんになるで
おとなしそうなかおして
やるときゃやるん ....
一日の終わりに
脱いだ
ぬけがらが
いくつか並んでいる

命がけで
脱いだわりに
その佇まいは
くしゃみ
ひとつほどの
可笑しさを漂わせている

上手に脱いだ
ぬけがらは
 ....
鳥の囀りが
風に乗り
詩になっていく

花の分身が
風に乗り
詩になっていく

雨の音符が
風に乗り
詩になっていく

ここで
みんなが
風を待つ
わたしの言葉も
風を ....
古代飴のような
琥珀の中に
小さな虫が
羽ばたいたまま
閉じ込められている

時が止まったままの
小さな宇宙を
私は
手のひらで
そっと転がして
スイッチをさがす
桜が降ってくる
雪が降ってくるように

その時
人は
空を見上げずには
いられない
人は
命の終わりに
気づかないふりなど
出来はしないから

空から降ってくる
ひらひらと
 ....
無限上昇のカノンさんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(26)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
対の羽- そらの珊 ...自由詩15*21-4-17
冬猫- そらの珊 ...自由詩4*20-12-12
夏をしまえば- そらの珊 ...自由詩10*20-11-26
きのこは愛なんか歌わないけれど- そらの珊 ...自由詩14*20-11-6
秋の窓は刹那- そらの珊 ...自由詩10*20-11-6
暮れるのがはやい- そらの珊 ...自由詩14*20-9-30
トランジット- そらの珊 ...自由詩16*18-4-22
バス停- そらの珊 ...自由詩18*17-11-16
食べられるもの食べられないもの- そらの珊 ...自由詩12*17-11-8
花暮らし- そらの珊 ...自由詩17*17-10-30
出航- そらの珊 ...自由詩18*17-10-10
台風のあとで- そらの珊 ...自由詩3012-6-20
レインシック_或いはシンメトリーな憂鬱- そらの珊 ...短歌9*12-6-18
雨の日に- そらの珊 ...自由詩17*12-6-16
雨の日は- そらの珊 ...自由詩1912-6-12
時の砂- そらの珊 ...自由詩1112-6-11
豆ごはん- そらの珊 ...自由詩1012-6-7
小さな森- そらの珊 ...自由詩2512-6-4
ワルツ- そらの珊 ...自由詩15+*12-5-29
MY_LIFE_AS_A_DOG- そらの珊 ...自由詩23*12-5-26
カサブランカ- そらの珊 ...自由詩18*12-5-24
むしゃむしゃ- そらの珊 ...自由詩15*12-5-21
ぬけがら- そらの珊 ...自由詩20*12-5-18
風待ち峠- そらの珊 ...自由詩7*12-5-5
仮死- そらの珊 ...自由詩17*12-4-27
- そらの珊 ...自由詩20*12-4-5

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