はじめは誰しもが手にしていたはずで
一度失ったら永久に手に入らないもの
すぐに失くすひとも
失くした自覚がないままのひとも
そんなこと一生考えないひとも
みんなはじめは手にしていた
....
あい変わらずぼくは
かなしみを知らなかったから
トーイチに会いにゴミ捨て場へ行った
夜中に網小屋まで降りて来て
悪さをする星どもなら知っとるがの
じゃが かなしみは知らん
カン女に ....
月のきれいな夜の森に
すすけたランプがひとつあって
マルグリットはその蝋燭の灯で
読書するのが好きだった
手帖の裏側から
ロオリエの葉が匂っている、 ....
あけがた
つらい夢をみた
あたしは英国製の
いいいろの髪かざりをして
コオヒイをいれながら
ちいさな受話器をゆっくり眺めたり
たぶん
7 ....
あの娘は、ブルウで
電話線の
むこうにいる
なみだがでるまできらって
と言うので
やさしくしたくなる
だれかで埋める
さびしい夜が、もしきみにもある ....
ぼくたちは
霧の深いなかを出かけていった
みどりときいろの
あたたかいマテリアルの服を着て
うたかただった
電話がかかってきた
すぐれたいたずらだった
天国のくらやみで
3 ....
犬猫とは違うことぐらい
判っているよ
※
でもね
薄汚れた服でサンダル引き摺ってた女の子
大切にしてもらっているのかな
パートのお母さんと
いつも家でタバコ吸っている男の ....
夜中にひとり食パンをかじる
バターをつけないで
ジャムをつけないで
電気もつけない
冷蔵庫の前にしゃがんで
はみはみ
虫みたいに食べる
どこか外国から船に乗せられて
海をこ ....