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暗い風が吹いた
濃くあかるい夏空の下を
暗い風が吹いた

暗い風が吹いてもなお
夏空は濃くあかるく
白くかがやく雲を湧き立たせた
蝉たちは鳴き 鳴きやめ また鳴き
鬼百合 向日葵 百日 ....
君はその身体に
神話と寓話とを
ありったけ詰め込んで
旅立つよりほかなかった
君が旅するほどに
君の身体の中でそれらが育つので
君はいつも張り裂けそうだ
君の身体から
抑えきれず放たれ ....
ある人から
窓をもらっていたことを思い出して
とりだして開けてみた

窓の向こうは
地平線まで何もなく白い地と
日も月も雲もない白い空

ふとその地平線に
何かの影があらわれた
だ ....
雨に囲まれた待合室に坐っている
だいぶ長いこといる気もするし
そうでない気もする
入ってくる人もいる
出てゆく人もいる
以前もここで
待っていたことがあるような気もするし
ないような気も ....
空っぽの硝子の鳥籠に
早春の光が淡く虹色に差す

そうすると
わたしはうすい水色の服を着たくなる

――籠の外では生きられない
  華奢ないきものだったはずなのに

  でも囀りは  ....
石田とわさんの塔野夏子さんおすすめリスト(5)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
暗い風- 塔野夏子自由詩8*21-8-15
沈黙の語り部- 塔野夏子自由詩9*21-7-11
窓のエピソード- 塔野夏子自由詩6*21-6-27
雨に囲まれた待合室- 塔野夏子自由詩10*17-6-25
硝子の鳥籠- 塔野夏子自由詩7*16-3-9

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