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たまゆらぐ
あきのひとみで
草のなかにかくれた
君をきいている
何かにすがりつきたいふうな君は
細い、ほそい線になって
なまみの月を仰ぎ
永いときを抱え
ふるえる
{引用=
....
朝霧の蒸発してゆく速さに
子供たちは
緑色の鼻先をあつめて
ただしい季節を嗅ぎわける
くったり眠っている
お父さんのバルブを
こっそりひらいて
空色を注入する
うん、うんとうな ....
私は元来
無口な男でありまして
うっかり、思慮深く思われがちですが
それは、本心を秘めている
というより、むしろ
現すタイミングを計れない
どうにも不器用な人間なのです
何か言わ ....
帰宅ラッシュだった
階段で圧力に耐えかね
ひょろ長い女の背を
あわあわと胸で押してしまった
(押すなよおっさん!
おっさんではない
武士である
{ルビ法度=はっと}に ....
折りたたまれてゆく季節は
いつか振り返れば
一瞬なのかもしれない
湧きいずる水におされて
いま
雲母のいちまいが
なめらかに遠ざかる
使いきれなかったノートの白さ
描ききれなか ....
二日遅れのホワイトデーの
白いリボンを髪にのせて
ふわりと回ってみせる君は
大きくなったら
メイドになりたい
という
人様に奉仕したいとは
見あげた心がけだ
と
解釈は準備してお ....
(また、お出かけなんだって、つまんない
保育園で唯一娘のことを
好き
と言って遊んでくれた友達は
先月突然、家庭の事情で引っ越してしまった
この町にも
あの町にも
ひしめく家並み
....
{ルビ微睡=まどろ}んで、乗り過ごすうちに
春まで来てしまった
0番線から広がる風景は
いつかの記憶と曖昧につながっていて
舞いあがる風のぬくもりが
薄紅の小路や
石造りの橋や
覗き ....
鳥は
自由に羽ばたく姿こそ美しい
私如きが
その軽やかな{ルビ踝=くるぶし}に絡みついて
ともに堕ちてはならない
いつか
大きな空になりたい
そんな、さよなら
相反する不確かな ....
のんちゃんは首をかしげました
(どうちて、うちゅーには、くうきがないの?
神様は、深く息を吸い込み
腕組みをしました
(ねぇ、どちて?
(ねぇ、ねぇ、どおちて?
眉間に皺をよせ ....
大きなガラス扉
日焼けしたブラインド
貸店舗、の白い貼り紙
コンビニになりきれなかった
角の、たなか屋
殺風景な店先のコンクリートには
ただひとつ
小さな郵便ポストが生えたまま
舌 ....
石田 圭太さんの佐野権太さんおすすめリスト
(11)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
交感する秋の声紋
-
佐野権太
自由詩
27*
08-9-10
海の日
-
佐野権太
自由詩
38*
07-7-24
太宰ヒラメ
-
佐野権太
自由詩
41*
07-4-20
武士のきもち
-
佐野権太
自由詩
34*
07-4-5
青いピースサイン
-
佐野権太
自由詩
34*
07-3-29
お父さんスイッチ
-
佐野権太
自由詩
53+*
07-3-23
あっかんべーの事情
-
佐野権太
自由詩
17*
07-3-1
春のホログラム
-
佐野権太
自由詩
34*
07-2-28
鳥の唄
-
佐野権太
自由詩
17*
07-2-23
のんちゃんと神様
-
佐野権太
未詩・独白
14*
06-11-17
たなか屋の角
-
佐野権太
自由詩
54*
06-6-20
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