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ふぅ〜
誰かのため息が
うなじをくすぐる
振り返ったら
黄色くなった“春”が立っていた
眼は真っ赤に泣きはらし
皮が捲れて鼻水が垂れている
あぁ〜
私はポケットから ....
女子高生のスカートを
ヒュンとひるがえし
春のイタズラ者が通り過ぎる
激しい風に街路樹も
大きく揺れて
梢にとまった小鳥は
今にも吹き飛ばされそう
突風で倒れた看板が
歩道を走 ....
ほんの小さな子どもだった
たぶん五歳くらいだと思う
私は明確な意思を持って
嘘をついたことがある
――お母さんの背中だった
月が出ていた
星も見える
風はとても冷たい
凍てつ ....
{ルビ宙=そら}に向かって 翳した{ルビ掌=て}
ちっちゃな指の隙間から
見える夜空
月と星 天上を照らす
蒼白く磨ぎ澄まされた星々は
夜の静間に息づいて
光年の{ルビ刻=とき}を数え ....
ああ、
貧乏に生まれて
貧乏のままで死んで逝く
ああ……
啄木さんや一葉さんの
気持ちがちょっと分かったけど……
才能は銀河の果てほど差がある!
ああ、もう
わたしなん ....
年が改まり 今日から新年なんだ
モソモソと布団から這いずり出して 袢纏を引っ掛け
いつものように 新聞をポストに取りに行ったら
電話帳みたいな ぶっとい紙が捻じ込まれていた
こんなもん、 ....
ひらひらと
群青の夜空に舞う
暗闇の蝶――蛾。
揺蕩うように 揺らめくように
滲んだ月に 白い影が踊る
「今宵の闇は深く
あなたの声も聴こえない」
女は
蒼い月影のランプで手 ....
わたしの中で
オンナが疼く
あなたに
逢いたい 逢いたい
この激しい衝動を
抑えられない
優しいあの人の
背中に嘘をつき
そっと部屋を出て
足早に向かう
あなたが待つ ....
朝起きて お天気がいいと
布団を干そうと 張り切ってしまう
ワイドショーに 好きなタレントが出ていたら
めっちゃ嬉しくて 一日中ハイな気分
クッキーと紅茶で 午後のティータイム
仕事と ....