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この前山の道で見かけたカラスの死体は

ポトリと落ちていて

なんだかとても温かくて幸せそうな死体であった

私はカラスを不吉や気味が悪いというよりは

小生意気な賢い奴であり

 ....
毎日の安らぎのひととき

熱さが肝心

やかんの蓋がはねるぐらいまで待って

コーヒー大さじ二杯

砂糖大さじ一杯半

マグカップにお湯がはねるぐらいの勢いで注ぎこむ

そこへ ....
お風呂から出て冷たいハト麦茶を飲んだら

一緒に冷蔵庫にあった昨日の味噌汁

明日まではもつまい

だからおたまですする

いつかの映画で囲炉裏に吊るされた鍋から

木のへらで貪る ....
おばちゃんは小気味よくステップを踏む

一秒たりとも無駄にせず

牛乳や豚肉、キャベツや卵を

カゴからカゴへ

手をかざすかのようにバーコードを読み取り

お会計を済ましていく
 ....
目を閉じて

瞼の裏で泳ぐ半透明の熱帯魚

朧げな景色

緑に覆われた朽ち果てた遺跡の中で

私はとても柔らかい座布団に座っている

宙には

カップ麺の容器がたくさん浮いてお ....
清らかな川の水に足を浸していると

冷たくて気持ちいい

足の先に触れる石の声が

沁みこんできて

生まれ変わっていくようで

何も考えずに

河原に転がる大きな石となって
 ....
さっきまでここにいたのに

だれもいない

冷たい空気が流れて気持ちが良い

スイカが一切れ置かれていて

がぶりと一口

すうっと目の前がうすれる

だれもいない

とっ ....
Tシャツを脱いで

じっと目を閉じる

葉葉がそよぎ

緑の光が身体を撫でる

汗がだんだんひいてきて

風がとても気持ち良い

葉葉の音に私の皮膚は

ぴくぴく脈動し
 ....
むっくりと太った柴犬がのしのしやってくる
なんかその照りぐあいは
焼きたてのチョココロネのようで
ぎゅっと抱きしめたら
頭からぽろりととれて
チョコクリームがどっさりでてきそうだ

チョ ....
道路を歩いていると
クワガタが一匹転がっていた
手のひらに乗せて眺めると
綺麗な姿は無駄がなく音もなく
生きているのか死んでいるのかわからないので
こつこつ指先で叩いてみると

ギザギザ ....
昨日の〆サバがあたったのか

朝起きると吐き戻しお腹も刺すような痛み

背中がかゆくてたまらず

爪を立てるとなんだかツルツル滑る

鏡に背中を向けて首をひねると

なんとも綺麗な ....
うちのベランダに

よさげな苔が生えている

コンクリートのひびから

もこもここと

ふさりふさりと

緑色からエメラルドグリーンへ

鈍く光っていき

それはなんだかシ ....
たいふううぅ

傘がくるくる空に消える

わくわく甘い匂いがしてくるよ

たいふううぅ

子供たちが笑っている

大人たちもはにかんでいる

たいふううぅ

あぁびしょ濡れ ....
夕暮れ
石ころが転がる河原で
ひとりのんびりビールと

割り箸に刺したはんぺんを
七輪でささっとあぶり
ちゅるちゅる呑みこんでいると

対岸にオレンジ
鬼火が屋台の提灯のように
等 ....
段差段差

すらりと綺麗な人が

高いヒールでぐにゃりとごろりところげた

うしろを歩く私へ

勢いよくかかとが飛んできた

私はちょうど

小ぶりで可愛らしい

さんかく ....
そっと風が吹けば

散り散りにこころは飛翔し

うらおもて

うらおもて

ひるがえり

夕暮れ空の向こうで

群れをつくり

大きなさかなが一匹

空をゆっくり泳いで ....
偶然のすれちがい

微笑み挨拶するけれど

何かを伝えたくて

何も伝えられなくて

優しい風が吹くだけで

明日の気配に

ふわりと衣が

背筋を撫でる
もげそうになった

私の身体の一部は

かさかさの瘡蓋で覆われていた

滲む体液が乾燥して

指でなぞると

疼き蠢き熱を帯びているが

やがてだんだん鼓動が波のように去ってい ....
そんなこんなで途中下車
ここはどこだか畑が広がって
葱ばかり
綺麗にぴんと立ってます

空を眺めたら
雲ったら
そんなにすがすがしく
ゆったりと流れていたら
私は馬鹿のパカパカみたい ....
とりとめもない映像を眺めながら

皮を剥き縦に切った細長い人参を
齧る
何もつけずに齧る
美味しいかと尋ねられれば
ちょっと柿みたいで美味しいかなと言う

実際は齧る行為に動物的な快感 ....
少し遠くにいるあなたへ言葉を投げかける

言葉はメロディのように滑らかに

空中を軽やかにステップするでなく

少し自信なさげに

ひらがなは途中でぽろりぽろりと落ちていき

漢字 ....
百円で買った文庫本

アメリカのとある古い短編小説

マウンテンパーカーの前ポケに

ちょうどだからと出かけるときに文庫本

雨がぱらぱら

結局ざぁざぁ

一日降って傘をさし ....
なにも考えずに
いや、なんにも考えることができずに

夜の歓楽街をぶらぶら歩いていると
道の端っこ
下水道のコンクリートから
白い泡が溢れだしており
近づいてみると
ぬくっと泡の中から ....
私のついた嘘が
ひとり歩きして
本物と変わらない姿をして
私の前に現れる

そうしたらもうわからないじゃないか

嘘をついてすぐ嘘だよ
今の嘘だよと笑えるぐらいなら
いいのだけれど
 ....
賑やかな風景が今も見えてきそうだ
昭和のレジャーは大移動
小さなゲレンデ一つに
休みともなれば
がやがや人が集まり
きちんと並んで
リフトに揺られ
ゆっくり滑っていく

帰りの電車も ....
一匹のからすが

あおあお鳴いている

小さな子供が歩きながら

あおあお
あおあお

声に出して真似している

雑木林の中から
鈍く光った黒いマントが見え隠れする

前を ....
牛乳パックで作られた船を
大事そうに
肩のあたりまで
右手でそうっとあげ
左手で船を支えながら
夜の闇を
街路灯や玄関ライトをよけ
蛇行しながらコンビニへと入っていく

クレヨンで牛 ....
川のほとりの

裸の枝の先に片方だけ

手袋がいろとりどり

沢山刺さっている

風が吹くといっせいに

手を振っていて

どこかで探している持ち主に

さようならと別れを ....
人の抜け殻を集める男は

人が集まる観光地や駅の周辺をうろうろして

うっかり落としてしまった抜け殻や

ふと自分の人生に疑問を感じ脱いで畳んで置いてある抜け殻や

もうこのままでは生 ....
そらの珊瑚さんの灰泥軽茶さんおすすめリスト(59)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
カラスの死体- 灰泥軽茶自由詩9*12-10-3
インスタントコーヒー牛乳- 灰泥軽茶自由詩10*12-9-27
冷たい味噌汁- 灰泥軽茶自由詩8*12-9-20
レジおばちゃん- 灰泥軽茶自由詩9*12-9-15
トロピカルな未来- 灰泥軽茶自由詩8*12-9-9
休憩- 灰泥軽茶自由詩16*12-8-30
一切れのスイカ- 灰泥軽茶自由詩7*12-7-27
ヒフミドリ- 灰泥軽茶自由詩8*12-7-15
チョココロネ犬- 灰泥軽茶自由詩10*12-7-11
雨の跡- 灰泥軽茶自由詩11*12-7-5
サバ人間- 灰泥軽茶自由詩9*12-6-28
よさげ- 灰泥軽茶自由詩14*12-6-24
台風やってくる- 灰泥軽茶自由詩8*12-6-19
はんぺん踊り- 灰泥軽茶自由詩19*12-6-16
さんかくのかかと- 灰泥軽茶自由詩12*12-6-11
うろこころ- 灰泥軽茶自由詩13*12-5-30
明日の気配- 灰泥軽茶自由詩7*12-5-28
もげる身体- 灰泥軽茶自由詩8*12-5-19
五月晴れ- 灰泥軽茶自由詩9*12-5-11
ニンジンガスキー- 灰泥軽茶自由詩13*12-4-29
かたちのあることば- 灰泥軽茶自由詩12*12-4-20
雨に濡れた文庫本- 灰泥軽茶自由詩20*12-4-12
雑居ビル地下一階- 灰泥軽茶自由詩11*12-4-8
嘘と麦チョコ- 灰泥軽茶自由詩11*12-4-5
スキー場跡- 灰泥軽茶自由詩9*12-3-15
黒いマントのカラスたち- 灰泥軽茶自由詩12*12-3-12
深夜の汽船- 灰泥軽茶自由詩5*12-3-9
ろくぶての行方- 灰泥軽茶自由詩512-2-28
抜け殻- 灰泥軽茶自由詩6*12-1-10

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