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風に研がれた街の
痛い輪郭の端を
ポケットに手をつっこみながら
そそくさと歩く

研ぎ澄まされない
目と指先と頭は
言葉を紡ぐこともできずに
ただアイツを
待ち焦がれている

 ....
あなたは
とても綺麗に微笑みながら
水のような滑らかさで話をつなぐ

わたしは
そんなあなたに見惚れながら
あなたの綻びを探してしまう

あなたは
笑っていないほうの目でわたしの ....
湯に首までつかると
毛穴という毛穴から吐息が漏れる
立ち昇る湯気が
表情筋をひとつずつ解体していく

たぷたぷ

あごの先端から始まった
温かいさざなみが
湯船のふちを円やかに乗 ....
僕の家の水道水には
カルキとカルマが含まれている

カルキは浄水器で
取り除けるかもしれないけれど

カルマはおいそれと
消えて無くなってはくれない

僕は毎朝
カルマで顔を洗 ....
あの頃よりも綺麗になった君を
呼び止められなかった右手

苦し紛れの甘い褒め言葉に
不覚にも照れてしまった右手

掴み損ねた夢みたいなものを
慌てて誤魔化そうとした右手

振り返 ....
どうしても言い出せずに
降り積もってしまった言葉の灰を
掻き出す術もないまま
人気も疎らな遊歩道をそぞろ歩く

いつまでも辿り着けずに
色を失くした街を漂う吐息の白を
飲み込む術もな ....
脳に転移していますね


ある日
余韻の残らない口調で担当医は言った

丁寧に覚悟を積み上げてきたはずなのに
質問をする私の声は上ずっていた
ひとつひとつ言葉を置くように説明する
 ....
僕が降ってきたよ
無数の

堪え切れずに
僕が

地面に突き刺さろうとして
ザザズ

濁った悲鳴をあげているよ
無数の

僕が降ってきたよ
止めどなく

所嫌わずに
 ....
晴れすぎた空を仰いで
晴れなければいけない
と思った

わずかな湿り気も
吸い寄せてしまう
とてもシリカゲルな僕は
そう思った

咲きすぎた花を眺めて
咲かなければいけない
 ....
もうすぐ間氷期が終わる
と言ってももうすぐは
宇宙サイズの話だから
明日の事かもしれないし
百年後の事かもしれないし
なかなか終わらないかもしれない

まもなく氷河期がやって来る
 ....
ほどよく乾いた風が
前髪をもてあそんでも
頭の中に巣食った記号は
センテンスのようになびかない

不安が逃げ込んだ空が
どんなに晴れていようと
未来を踏み越してしまった靴は
もう行 ....
9.8ニュートンの
朝を
蹴っ飛ばしたら
空元気いっぱいで
胸を張って
間違いだらけの
午前に
歩き出す

早くも重さを感じ始めた
午前を
乗り切ったら
不様な前のめりで
 ....
すべらかな曲線の感触を
薬指は覚えている
残り香は闇にほどけて
薄らいでいくというのに

互いのささやかな湿度を
夜ごと貪り合った
決して同じではない温度が
夜ごと擦れ違った

 ....
僕の中の水
君の中の魚

穏やかな流れにさえ
魚はとどまらない

僕の中の土
君の中の花

地面に黒い影を落として
花は咲き誇る

僕の中の空
君の中の鳥

どんなに ....
伝えることができたのだろうか
熟れ落ちていく夕陽の悲鳴を

表わすことができたのだろうか
沈殿していく闇の舌なめずりを

キーを叩く指の隙間から
瞬間は呆気なく零れ落ちてしまう
慌 ....
雨が降るたび遠ざかった
憎らしくて愛しいあなたの
後ろ姿はもう見えない

季節は容赦なく巡って
人は戸惑いながら巡って
届かない想いだけが残される

さらさらとした喪失感と
ひん ....
蟻だ
物凄い数の蟻だ

僕は
涎を垂らしながら
テレビのニュース映像に
釘付けになっている

パレードだ
角砂糖の数珠繋ぎだ

僕は
指をくわえながら
熱狂と陶酔の蟻の行 ....
電車の
先頭車両の
運転席の
後ろに陣取って
景色の中に
割り込むように
のびていくレールを
眺めるのが好きだった

クハ モハ クモハ サハ

駅に
着くたびに
一息入 ....
水飛沫だけは一人前の
まるで推進力がないバタ足で
取り付く島を探し回る毎日

学校の水泳授業を
見学してばかりいたツケが
今頃回ってくるとは思わなかった

後輩の回遊魚達には
軽 ....
地面に
言い聞かせるように
雨が降り続く

無色の
絶え間ない呪文が
街を塗り潰す

紫陽花は
すべてを受け止めようとして
雨雲を黙読し

雨傘は
すべてを受け流そうとし ....
明けない夜はないが
晴れない朝はある
止まない雨はないが
笑えない昼はある
暮れない一日はないが
つれない人はいる

そして夜
幾つもの夜を耐えて
人は強くなると言うが
ちびち ....
あまぐも

垂れ下がる昼下がり

うっかり爪を引っかけたら
鈍痛を引き寄せてしまいそうな



あまがさ

濡れた匂いは嫌い

美味しくない想い出と憂鬱が
しつこ ....
何を
描いてきたのか
いつまで
描き続けるのか


分からない


生き様を
刻もうとしているのか
ただの
石ころ遊びなのか


分からない


突き動かされた ....
生温いラブソング
みたいな雨が
無骨な傘を叩く

手頃なセンチメンタル
みたいな歌が
鳥肌にまといつく

南風に押されるままに
よろよろ歩き出す
曖昧な記憶

傷つけたこと ....
アチッ

二日酔いの朝
朝靄に包まれた意識の森で
突然発火するのは
昨夜の記憶の欠片

アチッ

酔いにまかせて
自分のてのひらとあしうらに
醜く刻まれた皺を
語ってしまっ ....
少し大げさに
五月の朝を吸い込んだら
つまらない不純物など
軽々と許せてしまうくらい
気管が心地好くせせらいだ

少し控え目に
五月の朝を吐き出したら
ためらいや秘め事を
うっか ....
橙色の絵の具しか
見つからなかったので
君を描いてみた

夕焼けなんかじゃ
痛すぎると思ったから

青色の絵の具しか
見つからなかったので
僕を描いてみた

海なんかじゃ
 ....
いくつもの
肥え太った想いが
出口に殺到して
立ち往生している

よこしまで
メタボリックな想いが
喉の奥でせめぎ合って
脂汗をかいている

バイパスを回り込んだ
耳障りの良 ....
わだかまりの小石を
ランゲルハンス島の砂浜に
捨てたところで
塩辛いもやもやは
寄せては返す

しがらみから逃れようと
前頭連合野の深い森を
彷徨ったところで
粘っこいもやもやは ....
そこに
握り締めていたものが
怒りだったのか
憎しみだったのか
恐れだったのか
あるいは優しさだったのか
まるで思い出せない

たとえ
プライドの端を踏んづけられても
握らない ....
泡沫恋歌さんのnonyaさんおすすめリスト(153)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
立春- nonya自由詩19*13-2-9
ウラ- nonya自由詩30*13-1-26
たぷたぷ- nonya自由詩27*13-1-19
カルマ- nonya自由詩29*13-1-3
まねきねこ- nonya自由詩20*12-12-29
雪になればいいのに- nonya自由詩28*12-12-22
その日- nonya自由詩28*12-11-16
土砂降り- nonya自由詩16*12-11-11
晴れ時々ペシミスト- nonya自由詩20*12-11-3
もうすぐ_まもなく- nonya自由詩25*12-10-27
毎日が木曜日- nonya自由詩16*12-10-19
重力- nonya自由詩18*12-10-14
月の滴る夜- nonya自由詩21*12-10-11
さよなら- nonya自由詩21*12-10-7
手の届かない場所- nonya自由詩23*12-10-3
心が空いた- nonya自由詩24*12-9-26
パレードには行かない- nonya自由詩29*12-8-22
クハ_モハ_クモハ_サハ- nonya自由詩24*12-6-23
バタ足- nonya自由詩23*12-6-17
梅雨- nonya自由詩30*12-6-10
ルフラン- nonya自由詩25*12-6-5
あまがみ- nonya自由詩20*12-6-3
地上絵- nonya自由詩16*12-5-26
あたたかい雨- nonya自由詩25*12-5-23
火傷- nonya自由詩18*12-5-16
朝_(五月)- nonya自由詩27*12-5-12
絵の具- nonya自由詩22*12-5-10
おしゃべり- nonya自由詩23*12-5-4
窓を開けて- nonya自由詩29*12-4-28
げんこつ- nonya自由詩31*12-4-19

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