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ぴいひょろ
ぴいひょろ
横笛吹きながらしゃがみこんでいる少女
音程なんかどうでもよくて
鳴き虫って呼ばれちゃっても
いまはただ悲しくって
ぴいひょろ
ぴいひょろ
あまのじゃくのつむ ....
ありがとうと言えたとき
きっとあなたとは二度と会えなくなって
それまでは
我慢してもらって
ごめんなさい
一番大事に伝えたい言葉だから
本当の最後に伝えようと取っておく
あり ....
時計の一秒ごと刻む音が心臓と共鳴する
進んでいるのは過去の堆積
動いていない僕の胴体を切り刻む
未来は音を編んでくれるだろうか
帰納法を後ろ盾に布団を被り
証明書のない契約に親指を赤 ....
電動歯ブラシ一本朝の洗面台
ぶるぶる
おやおや寒いのかな
白い粉
雪のように真っ白で
雪国の少女が掴んだ歯ブラシ
ぶるぶる
ぷるぷる
ぶるぶる
ぷるぷる
今震えているのは
....
箸が並んでいます
きれいに連なって並んでいます
じいっと
待っているのです
箸が並んでいます
もう
ここには帰ってこないのです
あなたが弾く鍵盤からは
詩が聞こえてきます
ピアノ色の言葉が
楽譜から飛び出して
わたしの耳元でささやくのです
あなたの詩は
私にとっては水の流れ
水色の言葉は
静寂で濁った悲 ....
午後と午前が一瞬だけ相槌を打ち
手渡される密書
時間を知る者だけに閲覧を許される
一日を均等に二分割したのは人間だけだが
月と太陽は有史以前から
地球に影を描いて輪切りにしていた
....
円周率の最後の一桁に出会ったら
宇宙はそのときめきに吸い込まれてしまうだろう
数字とは限らないその解は
きっと愛を語る詩人のように嘘っぽい
輪転機が無限に探すが
解けない問題こそ美しい詩のよ ....
星降る夜に
ノクターンを
あなたと並んで
聴いている
深い漆黒の風
灯りは湖の漣だけの
ショパンが
似合いすぎる時間
千回目のメールの後に
やっと会えた二人
だから ....
夢の扉の向こう側に
絹の衣装を纏ったあの時の
嬉しそうに君
幻になった
君の
優しかった歌
ユリの花束も抱え切れないほど
飾って置いた無傷な部屋
/海底に沈んでいった記憶の ....
摂氏零度付近で繰り返す
憤りと自己批判
つい今しがた晴天だったはずも
霰の降る未熟さ
頭を垂れるつららになれたらと
空を仰いでみた
雪解けの光沢に偽りはないのだが
春の陽射しは強すぎ ....
君の色はどんな色?
いじわるな質問ではないから
並んだ色鉛筆から
一本だけ取り出して
君の色で画用紙いっぱい塗ってみる
君の色はこんな色
赤 青 緑 黄色 黒 白
ご覧
僕が選んだ ....
今夜もまた誰かの悲しみが裂けてしまった
梟の眼が光る孤独の森
冬の尖った爪が人の夢を引っ掻く
日が昇れば
何も聞こえなかったように
白い雪の舞い
光が冬の仮面となり舞踏会
....
季節の足跡が白い凍土となり
剥がれた絵の具のように
海鳴りが景色に仕方なく張り付いている
此処には君はいない
それでも此処は君のいた場所
今日君はい ....
歯を磨こうと鏡の前に立つと、おわりなんだね、と
喉越し用のコップはからっと笑う。白い歯磨き粉は
まだ処女のような振りしているが、ねちっこく、ま
だ始まってもいないのにさあ、と寝そべってにやに ....
都会の人々が
いっせいに蝋燭に
明かりを灯したその夜
ひとつの灯が
消えた
わたし…
それっきり
くちびるは動こうとは
しなかった
友人の一人は
彼女の瞳は笑っていたと ....
「きみ」 乱太郎
どこかで会っているよね
そんな問いかけをしたくなった
きみの黒い瞳
いつだったか呼んでくれたよね
そんな昔話しを思い出したくなった
きみの褐色の肌 ....
二月の鼻先で
くしゃみ
クスンと泣いたのはだあれ
三の日に人がいて
春になるって
知っていたかな
鬼は外
ウグイス豆頬張って
あはは
泣き虫も福笑い
春来る
あなたの手に触れたとたん
恥ずかしくなって文字が滲んでしまったかも
読んでいただけましたか
言葉と言葉の間のためらいと
僕とあなたと間との小さな活断層
信じ合うためには強力な接着剤が必要 ....
詩は傷みです
あなたとわたしの間で
血が流れるように
空白を引き裂いた文字です
詩は苦しみです
あなたとわたしが共に
吐き続けたように
空白に汚れたままに散らかした ....
悲しんではいけないよ
なんて決まり文句
どこでも拾うことはできるけど
悲しみ
そこいらに落ちているもんじゃない
背後から黙ってやってきて
いきなりけられるようなもの
泣いてはいけ ....
さよなら
と言いながらつむじ風
くるりと巻いて
さよなら
ともう一度
こんにちは
とは言わないで
何度も
何度も
さよなら
止まらない銀河鉄道
開かない窓からアンドロ ....
おやすみなさいと
私の周りで泳いでいた言葉の魚たちがささやく
まるで百年の眠り姫の林檎のように
私が初めて口にした小魚は母の胎盤の中
臍の緒に繋がれて
息遣いの音と共にやってきて
生き ....
割れたコップの破片
触って流れた赤い淋しさも
拭き取る温もりあれば
やがて
指切りげんまん
約束は絶対だからね
なんて
笑って薬指
淋しがりやさんが
零したお水
拭いておくね
....
知っていますか
あなたが長い黒髪をなびかせたとき
真昼の純粋で無垢な輝きを消し去ってしまうこと
知っていますか
あなたが落ち着いた声で語るとき
街中のにぎやかな喧騒を消し去ってしまう ....
忘れ去っていく言葉よりも
あなたのいのちの清さにふれて瞼が閉じる
いつまでも文字にならない
あなたの悲しげで透明な息づかい
反復するあなたの鼓動が
休もうとしている風を揺るがす
あ ....
「カリヨン」
乱太郎
さっきまでの淋しさは
何処に
さっきまでのうっとう ....
でたらめに文字を並べて
言葉にならない僕のハ−ト
うろうろ
誰かが飛ばしてくれた
言葉がハ−トに張り付いて
ピタピタ
くっついちゃって
眠れそうもなくなった
夜
お月様が笑ってる
....
昼下がりの人気の少ない公園のテーブルで
ノートを広げ
考え込んでいる様子
まさか遺書でないでしょうね
まだまだ若そうな女性の人差し指が
あごを支えて止まっている
見知らぬ人だか ....
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