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振り向くと、


肩先をかすめて飛んでいった
風のまにまに光って小さきもの
僕をもう追い越して それは八月のまばゆい光のなかへ


ドラゴンフライ
そのうすい羽の向こうに少女が見える ....
緑の{ルビ扉口=とぐち}で世界がはじまる
アナザーバード
ありふれた季節に
誰でもない名前を探していた
初めて逢うひとのような
遠い
横顔を


朝露に濡れた
葉裏がひるがえる
 ....
月だ
月の光がさしている
やがて窓からこぼれるように


羊はいくつ柵を越えただろう
少年は薄目をあけて天井を見る
白いかたまりは柵からあふれて
容赦のない瞳でじっと見つめ返す
人形 ....
草原の彼方にあなたを見た
昨日の夢のように意味もなさずに
草の葉だけが知っているこの遠い既視


足もとがおぼつかなくなる
一羽の鳥が飛び立って空は青く


(わたしは行方知れずの夢 ....
遠い声を聞いた 海の底のようなはるかな声だ
耳に残る 今はおぼろげな記憶のようだと
貝殻の奥にある秘密の旋律のようだと


遠い道を歩いて抱いてしまった憧れに逢いに行く
人々が集って来る  ....
いつかわたしが殺したあなたは真夏の池に眠っている
水天井を睡蓮の花で彩られ 綾なされあなたは
わたしが逢いに来るのをずっと待っている
その白い咽喉をのけぞらせ(わたしが愛したその咽喉仏)
しな ....
風の行方を知らないままで、


君は風を探している
風は君の唇にさえ宿っているというのに
それとも、それはどこか見知らぬ世界の風で


光がここに射してくる
草の穂の襞にも
僕の心 ....
青いってくちにして街は海になる花びら泳ぐ彼方の岸を


まぶた濡らす緑雨は君に降りやまず海の果てに飛ぶ鳥を探す日


永遠に待ちぼうけです目を閉じて探して君の赤い夕焼け


いくたび ....
誰も知らない海でした、(けしてあなたのほかには)


舟は出てゆく
夏の入り江、あなたの瞳の奥を


白い鳥は羽根を休めることなく
空にすべる手紙


返事はいらない、ただひとこ ....
あなたの小指に糸を巻きつけました
赤い色をした糸を
風にふるえて揺れている
その糸の先にわたしの小指


(ねえ きれいでしょう この世界は
 心でしか見えないものがある)


ど ....
まなざしを夢に見るまで耳奥に遠い旋律夜明けのサティ


君だけを知っている記憶、冬風に燃える炎よいつか雪片


いつの日かめぐり来る日のグノシエンヌ海にピアノを置きざりにして


さ ....
雨が降っている、と 長い髪を翻して駆けていった


レティシア 君を探して見知らぬ夢をさまよっている
あれは君だったの 夢のなかでそっとくちづけをかわした


誰もいない図書室で本をひら ....
昼下がりの
うすむらさきに藤がひかる
森で
少女は見知らぬ少女と出会った


目を閉じて 見知らぬひとと
わたしの森を過ぎてゆく
風、


心臓の音だけが聞こえるでしょう
唇と ....
春の海はまぼろし
蜃気楼の楼閣さえ彼方に浮かんでいる
わたしを呼んでいるように


遠い海鳥
緩慢な波
割れた貝殻
ただ砂にうずもれて


あの子のか細い肩甲骨はもうさびしくなか ....
青い扉の向こうに
雪原が広がっている
かすかなノイズ
そのなかに紛れるように
一頭の白い馬
あれはあなたが放した淋しい夢だ


指で触れて
夢だと知りながら
その長い首を抱きしめる ....
雪の瞳に映るのは
軽やかな窓
音もなく降る白い彼方の光


   ひとつの塔に夜明けが訪れた
   沈黙はただ安らぎであるかのように
   いつか鳴る(それは予感めいた)鐘の響きを待って ....
指先は頬をすべって触れてゆくやさしい風のような音楽


君の背に耳寄せて聴く森があるざわめき揺れる二人の愛も


黄昏に言葉を失い泣き濡れてモルフォ蝶飛ぶわたくしの夜


白い手にか ....
透明なものがたりがあった
ひとあし、ふたあし、訪ねていくように
波が岸辺に打ち寄せて


貝殻を拾って、耳に寄せても
波音は聴こえない
わたしの耳には
あなたの潮騒ばかりが渦巻いている ....
だれもしらない庭にだれもしらないあなた
わたしたちは夢をみた
はつ夏のひかりのなかで
あれはあなたの花
ジャスミンのむせる匂いに
秘密めいたあそび くちびるの感触をおぼえた


だれも ....
夜明けの森を夢見た わたしの閉じたまぶたは
光によってひらかれる あなたの白い
春のような指さきで


わたしのためにあなたは生きていた
わたしが悲しいときははらはらと涙を流した
嬉し ....
 (雪降る時間 あのひとの指がきらりとひかる、
  わたしはくもりガラスの向こう側で)


あのひとを思うと 白い雪が降って、
わたしの肩にも髪にも舞い落ちる
そしてわたしは あのひとで ....
ね、といって目を閉じた
静かにその翼を閉じるように
ね、あなたの見る夢のなかに
白い鳥、翼をひろげて飛んでいった
その羽ばたきがかすか、耳もとにくちづける


ね、あなたは今も孤独なのだ ....
十月、黄昏
やさしい人の涙を僕は知らない
誰か呼んでいる (猫の仔のようにか細く)
振り向けば街をすり抜けいつかの風が吹く
頬に触れる、あのなつかしい指先で


   がまぶしくて目を閉 ....
海風にめくれる詩集さらさらと夕陽が射せば金が散る窓


夕立が過ぎて誰かを恋しがる覗く青空痛みにも似て


潮騒が胸裡に満ちてはなれない朝に夕べに打ち寄せる君


かなしみは魚のよう ....
雨のなかの馬
時間さえ檻のなかに閉じ込められる
そっと名前を呼んだ
季節が過ぎて青いさびしさが満ちてくる


後ろさえ振り向かず駆けていこうとする
雫のビーズをまき散らす夢よ
どうか名 ....
まっさらな春の手紙を開封す花びらこぼれていちめんの花


雨のように心は君をおぼえてるインクのにじみ幾度もなぞり


桜闇何を待ちわびあの日からかごめかごめの輪のなかにいる


雨で ....
{ルビ弓弦=ゆづる}が啼いている
火と風の言葉で
戦いはもう終わったと
あのひとはもう帰って来ないと


裸足で駆けてゆく濡れた樹下闇
白い裳裾を引きずりながら
胸には冷たい雫が流れ込 ....
ことりことり、ないているのかうれしくてまたかなしくて冬の青ぞら


立ちつくす白い時間をせつなさは雪を見ている君の目に降る


窓とおく汽笛は過ぎてひかりのみ冬の手紙を燃やす夕べを

 ....
風が吹いたなら バラード
君のまつ毛に触れた歌を
そして君の唇からこぼれた吐息が
空になって雲になっていつか
明日へと届く (耳をすませている)
風が吹いたなら バラード
君の頬にそっと触 ....
かなしくてないているのか
さびしくてないているのか
雲の切れ間に青空
風に小さな羽根をふるわせて


うれしくてないているのか
いとしくてないているのか
透きとおった雪が流れて
目の ....
梅昆布茶さんの石瀬琳々さんおすすめリスト(36)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
八月のドラゴンフライ- 石瀬琳々自由詩7*21-8-11
アナザーバード- 石瀬琳々自由詩9*20-5-15
眠レナイ夜二- 石瀬琳々自由詩5*19-12-7
みずうみ- 石瀬琳々自由詩5*19-9-14
遠い集会- 石瀬琳々自由詩18*18-10-17
七月の睡蓮の庭- 石瀬琳々自由詩7*18-7-23
アルカディア- 石瀬琳々自由詩9*17-7-21
飛ぶ鳥を探す日- 石瀬琳々短歌14*16-11-21
あいしているの舟- 石瀬琳々自由詩10*16-9-27
赤い糸を君に- 石瀬琳々自由詩10*16-6-24
夜明けのサティ- 石瀬琳々短歌4*16-3-26
レティシア_青い花を探して- 石瀬琳々自由詩10*15-11-27
藤のからまる森で- 石瀬琳々自由詩12*15-5-21
春の海の変容- 石瀬琳々自由詩12*15-4-22
白い馬(あるいは青い扉)- 石瀬琳々自由詩16*15-2-19
雪の瞳に映るのは- 石瀬琳々自由詩9*15-1-21
風のような音楽- 石瀬琳々短歌3*14-12-17
球体の海- 石瀬琳々自由詩6*14-8-26
だれもしらない庭で- 石瀬琳々自由詩14*14-5-27
アグネシュカ_夜明けの森- 石瀬琳々自由詩10*14-4-23
手のひらの花、そしてあのひとの雪- 石瀬琳々自由詩9*14-1-22
白い鳥、飛んでいった- 石瀬琳々自由詩12*13-11-20
十月、黄昏- 石瀬琳々自由詩7*13-10-23
孤独の窓辺- 石瀬琳々短歌9*13-9-18
雨のなかの馬- 石瀬琳々自由詩18*13-7-18
手紙- 石瀬琳々短歌7*13-6-19
馬酔木のうた- 石瀬琳々自由詩6*13-4-24
わたくしの小鳥- 石瀬琳々短歌8*13-3-14
バラード- 石瀬琳々自由詩6*13-2-20
冬の小鳥- 石瀬琳々自由詩11*13-1-23

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