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この街に雨なんていらなかったはずなのに
梅雨が来たからってだれひとり喜ぶ術もなかったのに
転ぶようにして降りる戸越公園駅のみじかいホームは
いつも苦手だった
ドアカットがなかったころの ....
あとかたもなく崩れゆく遠い果実を見つめている
Hのしろい指がりんごの皮をむく
どこまでも切れることなくつづく紅い航跡はこの星を
ひと回りしてわたしのからだのやわらかい節々にから
みつく
....
大きな欅の木のしたで
乾いた蚯蚓が八の字を描いて死んでいる
無から生まれた宇宙の話しを聴きながら
きみはもう死んでしまったから
こんな話しはおもしろくないかもしれないけど
きみに残さ ....
階段の灯りをLED電球に交換した
ちょっと薄暗いけど
四万時間の寿命だという
居間から二階の寝室まで
三十秒あれば昇りきるとして
電卓をたたいてみた
五十年は切れることはなかった
ぼ ....
宇宙式の貨物船にのって
オールトの雲のなかを航海している
太陽から1.47光年離れても
まだお前の重力圏内にいる
まったく、すごいやつだよ
お前ってやつは
RC2052年18月03 ....