紅く熟れた石榴の実を一粒
与えられ渡る虹の橋
暗い坂道這い降りて
辿り着くのは夜の国
たまご
霊の子
河を流れて
七色に光る砂礫の粒に
照らされて積むは
骨の破片よ
三百五十の ....
とても淋しい人と会って
とても淋しい話をした
とても淋しい店でした食事は
そこそこに美味しかった
それからとても淋しい歌を歌って
とても淋しいさよならをした
目の高さで手を振ると
そ ....
やらしくない裸みたいな
蝶々が翅を広げて
紫色の光を頭の中で回させる
つややかな官能
ジェシカ、
君がセックスをせっくすと発音するから
僕はいつまでも取り残されている
いつま ....
砂丘であなたに会いたかった
あなたの足をつかみたかった
行き倒れる寸前の
砂に埋もれたあなたの足を
谷であなたに会いたかった
あなたの骨を接ぎたかった
花をとろ ....
ガロイ先輩は
割れにくい卵の研究に6年
チブラさんは
すぐ割れる卵の研究に3年
間に挟まれる僕は
ただ暖め続けている
だけ
やがて
夕暮れになってやっと君たちは
....
ほら、珍しい薬だ
その男はそう言って
青いカプセルをくれた
エレベータの中で会った男だ
素性は知らない
ただ黒っぽい服を着ていて
線香のような匂いがした
効能を聞き逃して
もう ....
君の町まであと何百年かかる?
僕は宇宙服を着込んで銀色の砂漠を
君の町まであと何百年かかる
目を閉じて考えようとする愚か者
横浜に雨がふっていて
新宿に虹がかかる
そう あのデカい蜃気楼
....
窓拭きの人が来たのに
誰も返事をしないから
僕が部屋に通したんだよ
窓拭きの人は窓だけ拭いたよ
窓より汚いものは拭かなかったよ
窓拭きの人が行くのに
誰も見送らないから
僕が見送 ....
現存するものとしては
最後のヒメギミ
中継映像
物音ひとつしない部屋に
ただ一人のヒメギミ
ふわり
優雅なパニエは
裾がゆらいでる
注視かたずを呑む
23:05
....
「はい、次のひとー」
「こんにちわ」
「はい、今日はどうしましたか?」
「どうも最近ヒメギミみたいなんですが」
「ああ、あなたくらいの年齢だとね、よくありますね、ほんと」
「そうなん ....
羽根がついていたのにもぎ取った男
それが羽根だと知らずに捨てた老婆
折角拾ったのに羽根の付け方がわからなかった少年
それを観察して絵に描いた少女
絵から羽根を取り出した老人
その羽根をつけて ....
1.
シナ子
今、列車に乗っている
田舎に帰る
トンネルに入るとヒューィって音がこだまするの
それは列車の車輪の音
昔よく吹いていた草笛にも
車掌さんが切符を切る音にも似てる
....
口裂け女の噂を広めた女性は口が裂けていた
公衆電話はワープ装置としても使われている
ティッシュペーパーの72組目は他と質が違う
夜が訪れると同時に太陽は体育座りをして行儀よく次の ....
窓辺にいる子は
みんなふるえて
綺麗という字を
こわがっていた
だって
かまきりみたいだから
晴れた空は、あまりに眩しくきれいだ
幼い頃、一番欲しいものはなあに?と問われて
そら とは答えられず
むきかごーぶつ と答えた
(空は大きすぎて僕のおもちゃ箱には入らないとわかっていたから ....
君の周りに人が群がっているのは、
君のその、聞き癖のせいだ。
君はつまらない政治の話でも、
オタクの漫画の話でも、
それが世界一面白い話でもあるかの様に興奮して聞いている。
....
たったひとつの睡眠を
羊たちと分かちあって眠る
もこもこしてるね
なんて今日は言わない
めえ、と寝言を言っても口をふさがない
数をかぞえない
何も思い出さない
たとえば
わたしが沈むとき
くるくるとつむじをなでる
てのひら
がほしいのです
たとえば
わたしがつまづくとき
ついとおでこを押える
てのひら
がほしいのです
たとえば
....
夢の中で道に迷うと目覚めなくなるって本当?
って彼女が訊くので
ルルルと笑ってごまかした
蓋し彼女の顔に見覚えがあるのは確かだ
しかし果たしてそれが
そうです
シスチンとシスチ ....
薄雨のガーゼが火傷を冷やシンス
睡蓮ブレンドのハーブティーで
彼岸のスイマーに手を振る、針が降る
天使の腹腔に住う私の腹腔に住う
睡約聖書の祝辞が甘美な唾液を誘う
傘を差そうというベンチの隣 ....
ひとはみな
愛の途上でおわる
どうせいつか
消える身なので
大差ないが
若い死にふれると
おめおめ
夭折もせずに生きのびて
うしろめたい石である
わたしの
古傷がしめやかに疼く
....
性交の時のあえぎは
どこまで聞こえるのでしょうね。
かなしみや
よろこびや
いとしさは
どこまで響くでしょうね
知って伝わって
心っていわれてるものの中で
精錬 ....
カフス不可
カバラならば可
カラスミすら可
かるい体なだらか射るか?
カマドウマ舞う土間か
カメラ騙しまだ騙し{ルビ斑目=まだらめ}か
悲しいなかに叶いし仲
踵痛いと{ルビ母=か ....
家に帰ると兄が花壇を取り壊していた
“マルを作るんだ”
“マル?”
“庭いっぱいの”
思い立ったがまま行動するのは兄のいつもの癖だ
ほんの1ヶ月前、兄の顔はまさし ....
世界は俺達のものだよ
綺麗な夜空も爽やかな風も
どんな世界をも俺等は手に入れる事が出来る
世界中の全ての不幸を言葉に出来なくても
世界中の全ての幸せを言葉に出来なくても
君の笑顔と涙なら ....
遠くの方でなにかが光った
近寄ってみると小さなびーだま ほんの小指の先くらいの
そっと持ち上げると
ワタシハダレニモオカサレナイ
手のひらの中で塵になって消えた
日常 そんなこ ....
僕がほんの少し目をはなした
その隙に
君はまた万引きしてるし
暑い午後
いったいどんな手口なのか
それは知らんが
普段はずいぶん平凡な娘で
トロいくせに
バナナ
分度 ....
先生 この前のテストは100点だったけどBでいいです先生私先生が好きです。
ラメ入りの少年 惚れさせてしまうのは男どもばかり 生理も来ない
触れてとは言わない言えないでも触れな ....
海を見ようと言って6階の病室から私を連れ出したあなたは病院の地下の駐車場で一度目のセックスをした
海老名サービスエリアで歩けない私をおぶってトイレに連れてゆき二度目のセックスをした
御殿場のラブホ ....
倉吉病院にきちがいを連れて行くと5000円もらえる
倉吉病院の裏山には隔離施設と秘密の沼と竹林があって山を越えると
東伯郡になって梨園に出て夏になるとおいしく食べられる
竹林の奥の井戸のトタン板 ....
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