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幼い日々が
やわらかく在ったのは
いつわりごと、が
易しかったから

不器用な手に
添われていたから


ひとつひとつの横顔は
おぼろ気だけれど
ぬくもる匂いは
きえ去らな　.... 見上げる星よ、きみであれ

痛ましいほどに
疑いようもなく
きみであれ



忘れてくれるな、
燃え盛る目を

忘れてくれるな、
恥じ入る肩を



かろうじて　.... おそろしいものに
心あたった朝、

月は
黙って
灰色でした



わたしの言葉は
薪のようです

誰かの夜を
あたためうるならば、と

みえない炎を
見つめかねな　.... だれに
味方をするでもなく
秋はしずかに燃えている

わたしが
ひとを敵視するのは
燃えようとする
哀しい加速

はなはだ容易い
弱さの
露呈



いっそ
水にな　.... ほんの、ひと握り

どの
手のひらにも
負えるくらいの

ちいさな
ちいさな
身の丈で

ほんの、ひと握り

ねがいを載せて
せせらぎましょう

いついつまでも

　.... その
日没に名前はない

幾重にも
さまよう翼が
無効を告げられるだけ

次々と
帰されるだけ


名もなき標は
明々と燃えながら
あまりに
静謐で

無数の火の粉　.... すれ違う言葉に
疲れてしまうことが
疲れ、の原因


ひとの心を気遣うはずが
我が身がもっとも大切だから
我が身のつぎに
うまく他人を愛せないか、と
右往左往で今日が行く

　.... 言葉は
わたしに降りてこない

わたしを選んで
降りたりしない

だから
わたしは
降りしきる

言葉がわたしを拒んでも
言葉がわたしを拭っても

一途な
まよいに
　.... 旗を介して
風を視る

枝葉を介して
風を聴く

人の心を視るならば
何を介せば良いのだろう

人の心を聴くならば
何を介せば良いのだろう


船を介して
海を描く　.... 打ち上げられた
鯨みたいに

疑問符は
すべもなく
空の青さを映しだしている



怒号も慟哭も、祝福も
みな同じ音ならば

この
広い世界に満ちるものは
みな同じ水だ　.... 車窓からみえた
数羽の白鳥

つめたい水に
ああしてきれいに
浮くまでに
どれほど
ためらったことだろう
どれほど
しつけられたことだろう

わたしの知らない習わしが
見慣　.... 星明かりの駅が
ひとつずつ滲んでゆく

瞳は
乾いてなどいない
まったく逆だ

夜から
いちばん遠いところが
すべてを飲み込み
夜を生むための
夜になる

そこに
ある　.... つき立てたスプーンは
さながら銀嶺

氷寒は、あまい
あまくて
ぬくい


だれかの失くした王冠と
つとめてしずかな
舌鼓


ありふれた脱ぎ捨て方で
癒しのすべが
　.... むらさき色に
宇宙がのびていくのを
見た

小さな
わたしの夕暮れ


家々の窓には
サーモンピンクが
反射して

遡上の川を
わたしは想う


街灯がともるには
　.... ろうそくの寿命を
保たせたいのなら
使わないこと

点けても
すぐ消すこと

大事に
大事に
しているうちに
なくしてしまう
こともある
けれど


（おまえは
　.... あなたに
似合う季節は
どれとは言いがたいので
あなたへおくる言葉はすべて
どうやらいまも
なりゆき
です


　探しものは箱の中
　箱という名に閉じこめられた
　とても　.... 宇宙のかなたの秘めごとに
聞き耳を立ててみたくなるような
わたしの夜は

透きとおるほどに汚れてしまう
汚れるほどにもろさを甘受する
もろくなるほどに
他を傷つける


　　.... 工事ランプは今夜も寂しくて
車もまばらな夜の向こうには
灯るような、三日月

いまとなってはどんな言葉も
傷をかばうための
道具でしかないのなら
せめて
こまめに
踏むし　.... 雪のように
純白ではないけれど
雪のように
この手を
冷えさせたりしないのが
わたしの日々です


埃のように
身軽ではないけれど
埃のように
掃き捨てられたり
拭き取　.... 空いた
椅子の上には
ゆうぐれが降っていて

絵描きになれない風たちは
せめてもの代わりに
言葉を混ぜて
去っていく


取り残された場所に
おそらく施錠は
必要ない
　.... 灯台の
岬で

風が吹いたら
きみは
揺れる

髪も
すそも
きれいにつれて
きみは揺れる

それは
取るに足らない一瞬だけど

きみにまつわる
ささいなすべて　.... はてしなく
広がるものは
絶望、に他ならないから

おねがい、天馬
そのたてがみに
一度でも揺らせて
ぼくの
名を


命中しがたい
銀の矛先
大鷲の
視線

　.... あまりにも
咲き過ぎているから、と
たんぽぽを抜く

紫いろの可愛い花や
可憐にしろい小花の群れは
そのままにして
たんぽぽを抜く


　たんぽぽは
　花、という肩書きを剥が　.... ありの行列は
時間の砂をせっせと運んでゆくような
そんな気がして、わたし
のどが渇きました

真っ白、とは言い難いミルクを
すっと飲み干せば
胸の時計は
狂いはじめます、やわらかに　.... わたしが覚えた涙のあまみは
傍らの辞書によれば
もろみ、と呼ぶそうで
カーテン越しの陽射しの匂いは
ときどき広くて
ときどき鋭い


いつか見た夢の数々が
今でもずっと夢なのは
　....

subaru★さんの千波 一也さんおすすめリスト（25）
タイトル	投稿者	カテゴリ	Point	日付
千代紙	- 千波 一� ...	自由詩	11*	13-1-29
約束の歌	- 千波 一� ...	自由詩	7*	12-12-1
アンドロメダ	- 千波 一� ...	自由詩	7*	12-11-22
秋・絢爛	- 千波 一� ...	自由詩	10*	12-11-21
笹舟	- 千波 一� ...	自由詩	4*	12-8-15
くれない綴り	- 千波 一� ...	自由詩	8*	12-8-13
冬将軍	- 千波 一� ...	自由詩	4*	12-1-28
答	- 千波 一� ...	自由詩	5*	11-12-16
心仲人	- 千波 一� ...	自由詩	3*	11-11-22
花散る里	- 千波 一� ...	自由詩	6*	11-11-9
秋冷	- 千波 一� ...	自由詩	5*	11-10-30
水底	- 千波 一� ...	自由詩	6*	11-10-20
モンブラン	- 千波 一� ...	自由詩	7*	11-10-16
わたしの夕暮れ	- 千波 一� ...	自由詩	8*	11-10-14
たまゆら	- 千波 一� ...	自由詩	4*	11-9-20
恋文	- 千波 一� ...	自由詩	6*	11-9-18
ガラス戦争	- 千波 一� ...	自由詩	8*	11-9-16
逃げ道を照らせ	- 千波 一� ...	自由詩	9*	11-9-15
積もらない日々	- 千波 一� ...	自由詩	7*	11-9-9
埃まみれ	- 千波 一� ...	自由詩	20*	11-9-8
風が吹いたら	- 千波 一� ...	自由詩	4*	11-8-25
天馬	- 千波 一� ...	自由詩	3*	11-8-14
たんぽぽ日和	- 千波 一� ...	自由詩	6*	11-8-11
静かなまぼろし	- 千波 一� ...	自由詩	4*	11-8-4
午睡	- 千波 一� ...	自由詩	3*	11-5-1

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