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アルコール漬けの脳髄が
ひとつ
秋の夕空に浮かんでいる
努力が何よりも美しい 取扱説明書みたいな世の中で
凍えている季節はずれのカブトムシ
野菜ジュースのように
何もかも
からだにいいからと混ぜ合わせたら
きたないだろう?
君のように
水は美しい
人間の六〇パーセントは
水
だということの説明に
よく出てくる
....
夏を食べ過ぎた
メタボリックな入道雲が
冷たい雨をデタラメに降らし
秋風が吹く
置き忘れられた麦藁帽子
かつて夏休みは夏休みだった
かつての少年がその五音を口にすれば
宇宙は彼の手の上に転がった
そんな魔法の呪文だったのだ
それが今はどうだ
夏休みはナツヤスミである
俺がそれを口にすれば ....
蝉のお葬式 ひっそりと
参列者は私だけ
夏の夜の裂け目から
蝉の抜け殻は現れる
その内部には
恐ろしい秘密が詰まっている
それがこのもろい構造を支えているのだ
眼には真っ赤な悲しみを湛えて
どこまでも透明な孤独が
今夜天の川と ....
電線を流れる夕焼け
僕の身体には巡って来ない