生まれた日から神の計画はあったのだとして
生まれる前から神の計画の為に準備された人
時の時を経て夫々一人ひとりは生まれたのだ
としたら私の身体を貴方の為に肢体となって
お使い下さい私は何をすれ ....
パチンと弾けとんだ
洗濯バサミ
ひらいて、はさむ
どんなに風の強い日だって
あなたがいいというまで
ただもくもくと
しがみついてきた
のに
繰り返されてきた
しごく簡単な仕組みが ....
うす汚れた魂を
夜更けに洗う
洗面器に冷たい水を張り
ひとつまみの塩でもみ洗う
不信と後悔がにじみ出て
....
湯に首までつかると
毛穴という毛穴から吐息が漏れる
立ち昇る湯気が
表情筋をひとつずつ解体していく
たぷたぷ
あごの先端から始まった
温かいさざなみが
湯船のふちを円やかに乗 ....
クリスマス以降
全くやる気が起きなかった
どうにか今日で仕事納め
やっと時間が心に追いついたのだ
裸婦像みたいな街路樹の肩にカラス
除雪車に削られた白い壁に車を着けて
ふ ....
ひし形の歪んだ街に産まれて
時々、綿菓子の匂いを嗅いで育った
弱視だった母は
右手の生命線をなぞっている間に
左耳から発車する列車に
乗り遅れてしまった
毎日、どこかで ....
海まで歩いて五分
日当り良好の
離れの寝室の
大きな窓辺から
隣の国が見えてくる
そんな気がして
今日は霞がないから
風来坊になって
紙切れのように
軽く飛ばされてみた
....
ロマンティックが好きである
もう恋をする年ではないけれど
恋をした思い出なら
心のポケットにいっぱい詰まっている
怒りでベッドに
携帯投げつけたことも
男の背中をグーで
思いっきり殴 ....
隠すところが見えていたからといって
見せていたのだとしたら
それは NU→DE ではない
たとえ全裸になっていたとしても
言葉によって精神を露わにするのと
同じ程 ....
本当の自由を求めて空を見る
名も知らぬ黒い鳥が
隊列を組んで空を渡っていった
翼があるから自由でいいねと
そんなふうにつぶやくのは
自分の翼で空を翔んだことがない人間が想うこと
あ ....
紅いやら
黄色いやら
騒いでるんじゃない
山の中に勝手に入ってきて
ジロジロみて
写真撮って
弁当食い散らかして
ゴミだけ残して帰る
観光客たち
俺は
おまえらに怒って
....
静かな場所で純化された記憶を
再生すれば大きくなる重い塊
忘却するために
身を委ねそうになるタクト
終わることのない伝言ゲーム
とりあえずの否定形がぞんざいに連鎖し
....
部屋の灯りを消して
几帳面にいれたドリップコーヒーのカップの上に
角砂糖を置いた匙を手で支え
ショットグラスのブランデーで砂糖を濡らす
柄の長いライターで砂糖に灯をともし
青い炎を見つめる
....
何度もかき消そうとした
浮かんではそのたび
残暑の滲む空に放り投げた
危うさ
すべて不必要の時間に変えて
逃げることすらせず
甘んじた堕落の日々に
差し伸べられていた大きな手も
振 ....
きっかけは女の子がいれた一杯のコーヒーだった
「エスプレッソが苦いって誰が決めたの?」
その余韻は記憶となり小生意気な声で
私を侵食して何かを変えた
その時感じたフルーツのような新鮮な酸味 ....
たいふういっか
が
台風一家だと
思い込んでいた頃
台風が去った朝
通学路には
一家が遊んだあとが
残されていた
なぎ倒された空き地の草
折られた柿の枝
おしゃかになった傘
....
おんなは
どこへいったのか
ここにいますと
おんなはいう
こまどから
ゆうやけをみて
コンロをともして
さかなをやく
南天の実は 何想う
小さな赤い実 何憂う
昨晚 闇夜が長すぎて
ふかづめ しずぎてしまったよ
剥き出しになった指先が
世間に晒され 泣いている
夏に実を結う南天はない ....
冬の樹木は裸のおんな
背中を向けた太陽の
冷たい背中にしがみつく
鎧みたいに着込んだきみは
冷たい世間にそっぽを向いた
遠くに祖国を
持つ身のように
{画像=111208224010.jpg}
今更ながらに想うのだが
もう一度自分を
バラバラに分解して
細かいパーツの
ひとつひとつに分け
そのひとつひとつを
見分け分類 ....
冷静沈着というよりは枯木死灰だ
天衣無縫というよりは無知蒙昧だ
多面的というよりは気まぐれだ
ひたむきというよりは妄執だ
奇抜というよりは悪ノリだ
繊 ....
夜の図書館
しじまに俯く図書館の内省では
神田川の源流もナイルであります
不心得者の高校生が夕方
不品行に忍び笑いを殺していた
地下の障害者用トイレも森閑と
そばかすだらけの司書の死 ....
膝の上の猫
まるで愛おしい生き物でも見るような目で
わたしを見てにゃーと鳴くの
通り雨降る、夏の午後
その視線を
すり寄ってくる体温を
振り払いたくてそっぽを向いた
うっとう ....
丘の上に立つと
夜空にはたくさんの発光体が
空に向って地上から降り注いでいるのが見える。
一様に
ボーっと輝いているが
明るさにはほど遠く
夜空に闇に吸い込まれて行く
....
あなたは
決してわたしをゆるさなかった
はじまりの
隠しあう接触のぬくもり
黒くながれおちる髪を
手櫛でやさしく梳きながら
洩れる水を袖口に運ぶ
清潔な距離がくれた
まどろみの ....
君の瞳に映る空を雲が通り過ぎる
風の旋律が緩やかに流れはじめる
硝子細工の脆いバランスでバレリーナのようにポーズをとって
鳳仙花がはじけるように笑う
そんな君を飽きずに眺めている僕 ....
これ以上泣いたり笑ったりできないくらいに疲れてそれでもお金は味方だと思った。一粒500円のチョコレートを買ったり髪の色を5日ごとに変えたりしてそれでやっと立てている感じがした。洋服より下着にお金をかけ ....
ペットボトルで
金魚を飼っている男が
近頃は断水が多くて
ままならないという
言いながら口をつける
そのボトルの金魚が
今飲まれるか
今飲まれるか
気になって仕方ない
42℃の
アスファルト
を
ながめながら
冷えた部屋で
毛布
に
くるまり
92℃の
コーヒーを
飲む
そんな
かんじで
幸福が
だんだん
遠ざかっていく
....
言葉はすでに
意味を 捨てた
俺は死にたい
木の 幹として
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