すべてのおすすめ
洗濯物をたたみながら
あたしたち、
ずっと 一緒に
いれるかな、
ねえ、
きょうはさ
くっついてねむってみない?
....
生まれ変わりたい
何度願ってきたことだろう
見つめることをなおざりにして
そうこうしているうちに現実はモノクロとセピアに呑み込まれていって
どうしようもない現在 ....
部屋で寝転がり
凹凸のある真白い壁紙をじぃっと眺めていたら
いてもたってもいられなくなり
クレヨン屋さんに走る
奥行きの広い店内には何百色ものクレヨンが
一色ずつ一本ずつ
天井まで透明 ....
もう雷鳴しか聞こえない
僕は人混みの中で父親も母親も
兄弟も忘れてしまった
が
誰かの煙草の火が手に触れたときだけ少し
故郷のススキのザワメキを思い出したり
している
雑踏は温かくて ....
酒乱のゼブラは
いつも酩酊で店に来た
五十五歳
痩身で長身、顔は土気色
ギトギトの黒髪と銀ぶち眼鏡
三白眼が据わっている
「やらせなさい」
「無礼者、下がれ!」
初めて怒鳴られた時 ....
いつものように仕事をしていた
アパートの郵便受けに貼られた
よくある 空室 の文字をなぜか
一瞬 そら室 と読んでしまうと
ドアの向こう せまい間取りの境界が
ぼんやりしてきて 真っ青な空 ....
速度の中を歩く
壊れた体温計を
脇の下に挟んだまま
街には乾燥注意報が出ている
人が乾燥に注意している
拾い物が拾われてる
忘れ物が忘れられてる
ポケットに階 ....
強い鳥になりたくて
わたしは強い鳥試験を受けにゆく
都では申し込みが間に合わなかったから
すこし遠いところで申し込んでいた
三日ぐらい前からどきどきして
寝れない夜が続い ....
舗石の下には砂
自由の下には旗
投げつけられた火炎瓶
怒号、
硝煙、
五月革命のパリ
嘘つきアルベール
誰しもあなたのことをそう呼んだ
真実ばかりじゃ息がつまっちまう
たまには嘘 ....
グラウンド・ゼロに何が建つのか
私は知らない
おそらく
洒落たショッピングセンターと
御影石のモニュメント
原爆ドームを見上げると
青空が見える
ドームの小ささを
私たちは ....
まるでこの世の始まりから
僕を待っていたように
茶色い床に君の
十二枚の写真が散らばっている
秋の風が窓の外で
穏やかにはためく午後
僕はグラスに冷たい ....
何年も帰っていない故郷にいる
当然私の居場所は無く
家族はそれがもう当然のように
暮らしているから
私が帰ってきても気づかないようで
いつもの口癖のような言葉を
えんえんとお互い喋っている ....
真っ白い紙が好きだった
四つ折りにして切り離し
たくさん集めて綴じつけて
カバーに布を貼りつけた
憧れを描いて書いた
何十年過ぎても
たとえば生垣のプラン
今は構成中
東の庭は ....
るすでんが
でんわにたまっていく
れいぞうこには
こえのないものばかり
たまっていく
それでも
たべなければ
こえもにくもへらないから
るすでんを
ひとつひと ....
パトカーに
うしがおわれている
なにかわるさでも
したのだろうか
いきていることが
つみであると
ついにしったのか
うしも!
けさ、風は
すこしだけ冷たい
すこしだけ
生きているのが痛い
けさ、僕は
すこしだけ嬉しい
すこしだけ
きみのことを思い出せたから
....
高校生のスカートが
湿った風ではためいて
僕は地獄の底にいる
気持ちのいいことは
部屋の中にしか無くて
外にある
綺麗で頭がおかしくなりそうな風景は
僕とは関係のないことだと
....
着信気づかなかった
今 地下鉄
今日 外は金木犀の匂いがしてる
ぼくよりも
孤独を決意したたましいから
メールがきた
金木犀ははまだ
埃っぽくなった葉のま ....
さびれた町だけど、さ
コンビニ袋なんかを
シャリシャリいわせて
きみと歩いて、さ
きょうのことを
懐かしく思う日が
来るんだろうな、
って
真夏のくせに
....
犬猫とは違うことぐらい
判っているよ
※
でもね
薄汚れた服でサンダル引き摺ってた女の子
大切にしてもらっているのかな
パートのお母さんと
いつも家でタバコ吸っている男の ....
ぼくはいびきをかくらしい。
知らなかった。
なぜ、知らなかったかといえば、
ずっと、
ひとりで眠っていたから。
ふたりで眠ってみたら、
ぼくが、夜中に、
なんどもおしっこにいくの ....
夜/地球の裏側の太陽の動きを意識するように
気にかけたり抱えてたりする/日々のなだらかな稜線のつらなり
そのいくつかは自意識の成分でできていて
ムヨウの苦しみだったと気付くとき
素敵な夜だね ....
詩人の心は寛大だ 月が欠けても
怒りも見せず 歌って笑ってる
詩人の心は寛大だ 馬鹿が張り裂け
山が突き出し 尻を振って歩く牛のように
詩人の心は寛大だ しぼんだ ....
1.社会
職場に社会があり
学校に社会がある
家庭に
託児所に
公園に社会がある
{引用= 夕餉の時間
うつろなサイレンとともに
社会の ....
自分の名前が銘打たれた
思い出のアルバムをめくる。
生まれたての時からしばらくは
記憶がどっか行ってる。
記憶前の写真は囲まれ
色んな思い出話が咲いていく。
中心にいれるはずの自分は
置 ....
にっぽんをさがしに
おおきなまちにやってきた
おなじふるさとから
おなじくにをさがしに
このまちへ
じぶんをさがしに
あるひとは
まちのひとになり
あるひとは
ま ....
今年初めての茄子が採れたので
お義父さんが好きだった
茄子味噌炒めを作ってみました
だけど、いつまでも残っています
冷蔵庫には
茄子一本分の茄子味噌炒めが
ぽつん、と
美味しくな ....
地下鉄の通路を歩いていると
もしかしてこのまま出なくていいかなとか
考えそうになってあわててしまい
真っ暗な穴の方を必死で見つめる
滑りこんできた電車はなぜか
色褪せてみえるけどそんなは ....
わたしたちより古株で
わたしたちより広い範囲に
(未知種)として一括りされる
名もない虫がいまもずいぶんと生き抜いている
らしい
Gという
まことに理論的な空間で
アドレス武 ....
なにが問題だったのか思い出せないが
風車だけが回っている
からからと音を立てて
空の曇りと
鈍い緑の平原
汚れた漆喰の家と
どこかを見ている巨大な男の横顔
からからからと
音を立てて
....
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