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さよならではなくて
また会おうね
と言った
私は息をのんだ
もう眼差しも宙に浮き
口の動きも
何を指しているのか
分からなくなっていたのに
「お父さん、また会おうね」
....
熱帯夜が明けた
翌朝の駅前通り
ハンカチを頬に押し当てながら
駅へ向かう街路樹の下に
無数のセミが落ちていた
電車を気にする私や
数歩先を歩くYシャツの人の
慌ただしい靴音が ....
○
△
□
○と□は似ているようで
□と○は同じでない
□と△は似ているようで
△と□は同じでない
共に感じるということと
分かったような気がすることも
似ているよう ....
「一人でディズニーランドのフィナーレに上がる花火を見た。
水族館の多面体ガラスドームに、ダイアと花の観覧車が映る時
すごくきれいだと思ったけど、同時に私が人生に欲しいものって
何だろうって ....
「昨年の父の日には
おやじと蛍を見に行きました。
丁度、一年後の同じ日に、このように
いなくなった、おやじの偲ぶ会を開いている
なんてことは、夢にも思っていませんでした」
伯父さんと叔母 ....
サマーウェイスティング
また 夏がめぐる
夏休みは
夏のお休み
ただ それだけ
街灯に蛾がへばりついて火をふいて
落下した
螢みたいに
蛾は脂を燃やして落ちていきながら
....
ひとの一生ははかなくて
ふいにやぶけてしまう
ぴんとはった
うすがみのように
3月11日
がんを患うあなたの目の前で
おそらく数千の一生が
一瞬にしてやぶけてしまった
....