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かなしくてなみだをこぼす闇のなか気配はきみのただの面影
アルバムに辿るあの日のよろこびもいまは一人の愚図のため息
二十四わたしの歳はその時に綴じこまれてるスチールのまま
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青空と呼ぶのはたやすいことだけど本当にこれは青なのですか
週一度通ってくれる看護師さんわたしに触れる唯一のひと
晴れるかな空をみるため扉開け一歩だけ出て知った八月
詩と書 ....
大空を切り裂く百舌の軌跡あり
みどりごが喋った喋った花畑
{ルビ末枯=うらが}れに手を差し伸べて日が帰る
秋蒔きの汗を愛しむ空の神
丁寧に過ごす真昼に小鳥来る
....
朝顔の種こぼれたよ猫が鳴く
路地裏に秋を届けて落し物
みえなくてみようとすると秋逃げる
木漏れ日に老後知らない秋の蠅
コーヒーの薫りで帰る五年前
きょ ....
百日紅みてないみてないみていない会いたし命の色の朱の色
夜遠くひかりばかりを掴む夢みてさめざめと淹れるコーヒー
さよならは生涯一度の挨拶ですまだ言ってませんまたねだけです
きょうよりもあしたと思い灯り消し遠くで誰か生きている音
見ていない ....
天気予報をみてみると
昨夜は南南西3メートルを
子守唄に眠ったことがわかった
眠っていたのは惜しいかな
窓を開けて風を招いて
お茶でもしたら良かったかも
風の好みはミルクティー
....
きのう眠るときに
神さまわたしはしあわせです
と強く思った
いくども、いくども
今朝起きてまだ
しあわせだ
強く思える、いくども
いくども
からだがくたくたで
いまベッドのな ....
陽が落ちて分針がぐるぐると何回もまわって
やっと眠ることが出来る
いまわたしはその時間を待っている
意識の死ぬ時間を待っている
癌の再発を繰り返して最後にはすっかりと憔悴して
父は死んだ ....
痛くて泣いてるってばかみたい
一人の闘い、だけど
お医者はきちんと診てくれてるし
看護師さんだってついている
それでも
一人の闘い
痛い、痛い
きょうは具合が悪すぎる
家族がいたならと
夢をみる
....
毎晩ジャンを抱きしめて眠ってる
ジャンにしてみたらいい迷惑かもね
テディの宿命です
なんて言えない
不安になるとすぐ泣いてしまい
どうしていいのかわかんなくなっちゃう
わたしへのアドバイス
「大好き ....
いつも追いかけている
あなたの幻影
おさげにできない
短い髪と
冬になれば凍傷にすらなる
無防備な手の指
泣きながら追いかけている
わたしの手には数枚のあなたが
なぜ
笑えるの
....
朝凪の浜に降り立ってみると
詩が
たくさん打ち上げられていた
、それらには
誰にでも読めるようなカタチで
詩
と書いてあった
それぞれに棘だとか
ウィルスだとか
病原菌だとか
....
青い花をみつけた
夏、君を撮った
盗った、だろうか
そんな感じ
帰ってモニターで
可愛がってから
サマーブルーと名づけた
プリントアウトして手許に
は、せずに
季節のめぐりのなか
ときおり君を可愛 ....
浜の足跡
とうに消え
浜のお城も
とうに無い
あの子も
あの子も
帰っていった
帰るべき胸へ帰っていった
母さんのシチューが
湯気立てる
初冬の台所
覗き込む
その ....
空をあおいでも
それでも足りない日には
年輪を刻んだ自販機に
たずねればいい
コインの用意はいいかい?
きっと応えてくれるから
躊躇わずに
それ、
買いなよ
いのちが潤うよ
どんな ....
首都高に陽は沈み
滞りのなく済んだきょう
帰り道にも屈託のなく
靴を脱ぎ捨てようなんて思わずに
橋を渡ることができた
今は部屋にくつろいでいる
五畳のわたしの聖域は
しっかりと夜の帳 ....
吐く息が部屋のなかでも白を語る
かじかんだ爪先に靴下を与えるでもなく
窓の外
早すぎた目覚めがかなしく
ひとりを悟る
{ルビ時間=とき}に負けて
遠のいてゆくあなたの微笑みは
ま ....
いま時分には珍しい朝凪に
吸い寄せられるように
車を止めて
浜へ降りて行った
もう、母国に
呼ばれることのないカモメたちが
白を惜しまずに羽ばたいている
水面はきらきらとさやかに
....
尽きない想いに眩暈して
それでもいつかは尽きるいのち
燃やし尽くし
願い尽くす
夜も更け
この秋も発ってしまう
待たれていたころを偲ぶ
影ひとつ
過ぎて愛想尽かされ
厄介者
....
思いが波紋と広がり
弾けてきらめく
夜空に星座を探す夜は
そうして更けてゆく
ゆきずりに声かけて
無理にでも言わせたい
おやすみなさい
よい夢を
あてないから
お ....
淋しい夜明けに
小鳥も来ない
一人の夜明けは
風すら逃げる
しーんと鳴ってる
首都高だけが
静かに冷たく
朝、告げる
荒川横の
ちいさな町の
ちいさなビルに
一人は生きて ....
東の方角からその 訪れが告げられると
愛らしい小鳥たちの一日が始まる
まばゆい永遠の訪れが告げられると
嫌われものの黒い翼の一日が始まる
東の方角からその 訪れが告げられると
エスプレッ ....
風を脱がされた雨が淋しげに
吶吶と落ちている
かなしみだ
わたしのかなしみのうつしみだ
晒されて
ほら聴こえる
よおく聴こえる
嘲笑い
わたし、宛て
*
風 ....
わたしはかなしみに愛されているんだ
と確信した夜があった
抱きしめてください
とわたしは言った
かなしみはそっとわたしの許に降りてきて
降りてきて
隣に寄り添って理由をたずねて ....
つらい暗い夕暮れ
ひとりを噛みしめる時間
あとにしたカフェで飲んだ
クランベリーソーダを思い返している
霧雨のなか
あえてテラス席で
はじめたばかりのタバコ
慣れない手つきをごまかし ....
すこしのかなしみがあったけれど
それはさもないかなしみだから
窓のそとのことを考えようと
わたしは祈る
きっとまだ
のこっているはず
わたしの場所
この残照のまばゆさ
のな ....
良かった恋なんてひとつもなかった
流行歌は嘘つきだ
恋を嫌いになるために
わたしはいままで恋をしてきた
会いたいひとがいない過去しか
持っていないことの貧しさは
愛を知らないままに置き ....
再びの夜明けを
ひまわりは信じている
どこの哲学者の蔵にも
視ることのできない
廻りの神秘をも悟っている
発った桜花が
その根元で人間たちに
享楽されたことをまったく
嘆いていなか ....
来年を知らない花が
風と遊んでいた
、ふっと凪いで
花は戸惑う
それでも無心に
凛とある
いつかのまたの
友だちを
信じて無心に
凛とある
*
花には
....
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