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海底にある火力発電の炉が美しい
くらい水の奥から透過する火のゆらぎ
きみらは
新しい土地のように、町をあるく
若い者はみな都市にでてゆき
老人ばかりが残っていることを
恥ず ....
坑道は閉じられた
この町の盛衰などは
年表に改めて書きくだすまでもない
わたしたちは身を染めるように
幾百の眼で見てきたではないか
鉱石と蔓草と共同墓地
その合間のくらしの ....
果樹よ
みはたわわか
きょうわたしは帰る
だれもいない故郷
だれも食べることない実が
熟れて落ちて土に帰るなら
わたしも帰る
静かな庭に
沈みおちる
音もなく
過ぎる
....
緑の勢力図は
放り投げた紙くずにさえ
影響される
その草いろをゆらめかせる
ゆらめき
のなかにまたたく花々
広大な領域を
おしやられ、おし広げるのを
わたしが傍観したように ....