すべてのおすすめ
空に向け背骨を伸ばす登山口
お揃いのザックストック登山靴
学校へ行こうと目高泳ぎをり
振り切った涙一粒金魚玉
六月のソーラーパネル青い眉
六月のキリンの首や紙の鶴
少しだけ臆病な恋滴れり
滴りやかつて地蔵でありし石
朝顔や
しおれて告げる
夕餉かな
歯の隙間気になるアワビ
明日は覚悟の鰻と勝負
苦手な刺し身妻に寄せ
誰が言おうと立ち食い蕎麦
胃を無くし鏡に映る骨格標本
眼球に化けたる女朧月
誰もみな忘れた杉よ藤の花
紅の花弁を滲ます皐月雨
稲苗の月になりけり祖母の爪
花もない山も追い越し泳ぐ鯉
石垣の闇から延びる赤い薔薇
色水を吸って枯れゆく母の花
花種を蒔く確率は気にしない
勝算のない一束の水菜かな
読みかけの詩集をめくる春の風
散歩道
月に照らされ
夜桜よ
古書店に私の歌集四月馬鹿
夕暮れを追い越すように燕飛ぶ
木犀や三日月よりも細き月
蛤や逢いたき人に逢えぬ夜
烏帽子形兜のごとき冬芽かな
冬木の芽世界の殻を破らねば
冬木の芽頑固親父の如き顔
色彩をなくしたる街寒蜆
湖の奏でたる音寒蜆
冬至粥白優勢のオセロかな
恋の札狙いたる眼や歌留多会
年玉を借りて煙草を買うオトナ
下町の神社の端に初雀
銃声が二度鳴り響き牡丹鍋
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