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弱冷房車の車両では
温度調整係がつまみを回して
こまめに温度管理をしている
ヒトたちはつり革につかまったり
しがみついたりしている
ふいに調整係の動きが止まる
背中が割れる
....
水に音がする
今日、記念日
心臓がヒトからヒトへと
伝染していく
いくつもの屍をまたいできた命が
測量会社の裏口を叩く
内から命の返事がある
シャボン玉は飛ぶ
空へと延びる ....
深い霧は晴れ
街やヒトを形づくる
様々な線たちが
再び姿を現す
言葉は辞書の中で
既に朽ち果てている
「幸せ」という
一語の印字のみを残して
鳴くこともなく
路上に何とな ....
都市の息づかいの奥へと
延びていく砂利道
書きかえられた公図の写しを
大事そうに抱えた男が
小さな石の陰でうずくまっている
眼の中を覗き込む
そこは既にもぬけの殻
わたしの数 ....
窓ガラスに
幼い指紋がついていた
指紋をめくると
それは昔の日記帳だった
歩道橋で終わっていた
日記の続きを書くために
歩道橋を最後まで渡り
階段を下りた
まだ小学生で
....
大根の上に
小さな虹がかかっている
きみは虹を切らないように
器用な手つきで
大根を切っていく
飛行機がいつもより
低く飛んでいる音が
屋根の上にある空から
聞こえてく ....
誰が決めたのかわからないけれど
いつの間にか
どこまでも一列に並べられた
みかんの上を歩くことになっている
一歩踏み出してみる
みかんは潰れ
小さな悲鳴が聞こえる
なるべく潰 ....
公園の水たまりに小さな魚が一匹いた
海水魚のようだった
昨晩の雨に迷って
ここまで泳いできたのかもしれない
このままでは水が干上がってしまう
魚は少しずつ弱っているように見える
....
手の子どもが
粘土をこねている
いくらこねても
粘土は粘土の形にしかならない
粘土を裏返してみる
にぎやかで美しい色の都会が現れる
足の子どもは
都会に行きたがる
昨日草む ....
軟骨で出来たビルに
バッタが遊びに来ます
電信柱の破片が砕けて
少量の砂になります
+
過って網戸に
大きな穴をあけてしまう
その大きな穴から
たく ....
ふと、わたしは紙になる
紙になったわたしを
見知らぬ女性がか細い指で折る
骨も関節も内臓もない身体を折ることは
とても簡単なことらしい
女性は几帳面に折り目をつけ
やがてわたし ....
いつの頃からか口の中に
ハリセンボンが住み着いている
怒らせると針が口中に刺さって痛い
ちょっとした振動にも反応するし
取り出そうとして手を突っ込んでも
針が引っかかって取り出せ ....
乾 加津也さんのたもつさんおすすめリスト
(132)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
生きるって
-
たもつ
自由詩
3
10-9-4
記念日
-
たもつ
自由詩
7
10-9-2
線たち
-
たもつ
自由詩
5
10-8-31
砂利道
-
たもつ
自由詩
6
10-8-30
エリーゼのために
-
たもつ
自由詩
25
10-8-19
ブリ大根
-
たもつ
自由詩
9
10-8-16
みかん
-
たもつ
自由詩
8
10-8-12
下り列車
-
たもつ
自由詩
13
10-8-10
ひと
-
たもつ
自由詩
6
10-8-7
夏は終わる
-
たもつ
自由詩
5
10-8-5
折鶴
-
たもつ
自由詩
7
10-8-3
伝言
-
たもつ
自由詩
7
10-7-29
1
2
3
4
5
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