病を詩うなかれ
もし病が書かせるにせよ また
病ゆえに書かざるを得ずとも
病を詩うなかれ
死を経ずして死を詠むなかれ
死からほど遠くであくがれ
あるいは ....
空を飛びたいわけじゃない
からだいっぱい手のひら広げ
君を受けとめたいんだよ
雨がしとど降る夕方にさえ
その図書館は
虹のなないろよりも多くの色彩にあふれているのでした
花はバラ色
空は空色
木々は緑
図書館に住む少女たちは
童話の勇気ある少女のように
....
私小説というものがほぼ死に絶え、小説はエンタテイメントとして書かれ・読まれ・消費されるものになって久しい。それに対して、詩というものは、未だに“私詩”とでも呼ぶべきものが大半を占めているように思える。 ....
脂喰坊主は地下鉄の端で
ホームに顔を突き出して遊んでいる
駅員が慌てて止めるが
大丈夫
脂喰坊主は死なない
脂喰坊主はバツの悪い顔で笑う
それから
目を閉じてかっきり一秒
....
白猫の耳
草の下の水晶
白猫の耳
切っても切ってもひとふさだけ
長くのびる髪の毛を
目にかざし 陽にかざし
わずかに異なる小さなふるえ小さなふたえそのままで
ひ ....
電 車 待 ち 君 が 乗 る の は 何 両 目
君 の 人 カ バ ン ぶ ら り と あ く び 顔
煙 草 に は 縁 が 無 い の と 火 を か く す
無 視 を ....