と、その人は言った。
なんとも不思議に穏やかな笑顔で、
世界の涯へでも
身軽にリュック一つで出かけられそうなほど
軽やかな足取りで。
すべてはよりしろになる
悪しきものも
良いも ....
小さく開く掌のまだ柔らかい皺ひとつ
時の過ぎるにいつの日かまめのいくつもつき始め
年輪の如く物語る人生まだ語るに足らず
そっと包んだ我の手の汚れは二度と振り消 ....
地面の花も
池の蛙も
みんな
懸命に生きてる。
私たちと同じように
何かを感じ、考えているのだ。
とてもか弱く小さな存在だけども
人間が生きていられる理由は、彼らがい ....
笑えばいいさ
嬉しいなら。
泣けばいいさ
悲しいなら。
叫べばいいさ
伝えたいなら。
行けばいいさ
進みたいなら。
さらけ出せばいいさ
嘘をつきたくないなら。
・
掃除をすると
部屋の四隅から
無限に白い米粒が出てくる
表面は乾いて
埃にまみれて
まるで
昔わたしが産み落として
そのまま捨てた卵のようだ
・
遠くに見えるラブ・ホテルの ....
・
小さい頃
コーヒーとは
空色ののみものだと思っていた
すくなくとも
母親が眠れない夜にいつも作ってくれた
ミルクコーヒーは
曇りの日にふと覗く
青空の色をしていた
それなのに ....
雑踏で喫煙をしていると
衛生的な感じの服を着て
酸素マスクを付けた人たちが
群れを成してやって来て
あなたはどうして煙草を吸うのか
と言う
くちごもっていると
健康の為に今すぐにやめ ....
身分証明書を
と言われて財布を探ったが
パン屋のレシートがぱらりと落ちただけ
カード入れにはブックオフのカードだけ
午後の図書館だった
カウンターのミセスは
住所と名前が記されている ....
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