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電車の自動扉から
春が吹き込む
そして夏が来る
アナウンスが夏を告げる
夏はにこやかに笑いながら
春を押しのけようとした
春はなみだを流した
アナウンスは夏を告げる
駆け込み乗 ....
こんなに手を伸ばしているのに
届かないままひそやかに
眠っている呼吸音
方々で
下駄箱の開いては閉じる音が
心臓の音に重なってまるで戦場
上履きが音をかき消していく
ブリキの下駄 ....
朝靄ののぞく
窓の水滴に触れたら
一滴が硝子を撫でた
一筋の道筋を作って
いくつかの水滴を巻き込んで
流れていって下のほう
ぺちゃんと爪先が濡れた
じわりと広がる水滴が
ひんや ....