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ある窓があって
その窓は生まれつき北向きなのに、あちら側では
目を開いたまま湛えられた池の水面が光になり
崩れそうに傾きながら何かを守る強い屋根瓦が光になり
駐車場に並ぶ誰もいない ....
耳の奥にある大西洋のような広い海から波音が響く
波は切り立った崖にぶつかり白く砕け きみは毎日の新陳代謝
そしてささやかな発熱を繰り返している
切り立った崖の上にある一軒のブック・スト ....
壁、壁、壁、の、コンクリート、の
暗澹へ、暗澹へ、暗澹へ
投身する風の、その跡形を独占する為
すぐさま雨が投身する
同時に見えるも僅差のあるそれらの自決を
私は、右目と左目で悼む ....
暑い夏流れる汗もそのままに
もはや芽吹くことのない
冷たい枯れ木に寄り添って
待ちましょう
ただ無言のまま
トゲの多い喋り方も忘れ
靴を脱いで
裸足になって
老いた虎のように
待ちま ....
忘れてしまえるくらい
に だけ
触れてほしい耳たぶの
熱にも
きちんと そよぐ
こうへいな風は
そこここにおとずれて
猫の鈴や
窓を
鳴らし
合図をする
カーテンは
ふ と ....
けっして 関わってはいけない
猫の葉で覆われた扉は
口が半開き
あの扉の向こうには
きっと ばけもの が
うじゃうじゃ いて
ひどい言葉をあびせたり
かなしいことや 暴力にも
う ....
目が覚めると
右手がチョキになっていた
いったい僕は何と戦ったというのだろう
夜中、こんなものを振り回して
援軍の来ない小さいベッドの上で
俯きがちという言い方は生ぬるく
人々の首は、方角の違いはあれど
完全に折れています
それぞれに掛かる負荷の為に
多くの頭は地面の方向へ折れています
左や右へ折れている首も ....
休日の遊園地に人はいなかった。
楽しかった。
子供達が血を流して喜んでいる。
頭が取れたい
落ちた頭を蹴飛ばして
底のない湖に落ちる音を聞いた。
拡声器の ....
あれ
紺色に透明な夜に降り続いてこじ開けた
明けたら砂糖水がいつのまにかこんぺいとうになって
「お早う。」
揚々と
響く頭が予想以上に甘くなって
甘い 甘い 甘い 甘いと
踝がだるく ....
恋をするのはめんどくさい
語らったり
理解したり
どのみち理解など
できるはずもなく
中途半端に抱きあったりして
そうして
さみしさを希釈する
カルピスで ....
底面の アスファルトまでも
濡らす五月の緑を
どれほど丁寧に踏みしめても
足音は奇妙に乾くのでした
その足音に含まれた 一連の私は
ぱらぱら 小さくほどけ散るところで ....
廊下に落ちた西日の溜まりは
しろくしろくまぶしく
まぶしすぎると口に出すことは体の不足を認めることである気がして
目蓋薄め密かに調整しました
床板では、遠くからのピアノ音が ....
鳴きちる鳥の満ちる朝に形が満ち
形を得た形たちを再び濁らせゆくのは
千切れけぶる花の煙
それは なれの果てではなく
気が遠くなるほど緩やかな横溢
浮かされ翻弄されているのは
....
曇天とは無関係に翳った夢の後
ぎゅっと
その翳り残るこめかみを圧する
スピーカーからの果汁
光みたいな酸味、沁み
やっとのことで
鈍すぎた朝に気がついたのは
昼に ....
少し窓を開けた
テトリスのように積まれながら
ほこりひとつたっていない ビル
歩道には街灯がたたずみ
影に埋もれていた 夜
最初に僕の名前をつけた人のことは
よく覚えている
....
今日も良い天気
環状8号線から
ちょっと入ったところ
思ったよりも静かな
住宅地
不思議なデザインの
ブルーのマンション
窓からのぞく
子供の顔に
挨拶しようと
手を振 ....
セックス なんてするもんじゃない
間違えてしまうから
愛すること
わかりあうこと
歯車は逆転フォース
許しあうカタルシス
言葉だけ ナルシス
気持ちいいことは他にもあるのに
あ ....
粘土でできた空飛ぶ天使が
すごいスピードで
逃げていく
青空は遠く
やたらに暑い
ぐらぐら揺れる歩道橋の上で
動けなくなり
足元の床が
抜け落ちるような
そんな気がし ....
私の胸の
小さな傷の
隙き間に
君は棲んでいる
大袈裟な
ガーゼの奥に
ええ
見える範囲での
リンパ節は
全部
廓清しましたから
麻酔から
....
「クラシック」
稲穂の先端が
千切れて跳んで
千切れて跳んで
潮騒が跳んで流れる
音符が嵐が金色を色づけていく
鼓動と音階鼓動と音階鼓動
休符が僕を梳ってしまう
その
傷口のしぶ ....
ひまわりの種から奇妙なものが出てきた
日の光に照らされてそれも見えなくなった
踏まれてできた穴は開いたままで
人間の余地のない人間が
銃弾にさらされて
前歯を試し ....
肉体を支えるものが骨であるならば
空を支えている骨は人の想念である
人が空を想うかぎり空は空であり続け
けして空は空から落ちてくることはない
つまりそれは
人が人であり続けることと同 ....
気が遠くなるほど
恋をしてしまったとき
いや
言い換えよう
特定の
誰かに
欲情してしまったとき
わざと
自分を
隠す
何処にも
いないかのように
いないところから
....
一人モノポリーをやり過ぎて
おれは部屋の中で気絶した
靴を前足から順番に履いて
おれは外に出た
お空は恐ろしく翳っていた
つまり夜
....
つむじがふたつある頭を
持ち運びながらぼくは午後を生きはじめる
彼女が泣いていたよ
きみの顔がおもいだせないぼく
きみが縄に手をかけたとき
世界は曇りすぎていたかい
ねえ彼女も彼女とき ....
屋根瓦に置かれた夕刻の重みで
玄関を飛び出したまま私は戻りません
西空の 夜にかけての諦めが
すべて諦め終わった証拠
としての 暗い打撲跡の広がり
そして癖になったそ ....
視界にて
生成される
着色料と甘味料
そこから逃れるようにして
ぽとり、と、うつ伏せるしかない
あなたとわたし
春に間に合わない体
ああ
お砂糖の誇 ....
あら、困ったわ
が口癖の君が困った様子なんて
今まで見たことがない
あら、困ったわ
なんて言いながらも
トントントンッとまな板の上で大根を切ったり
ザッピングをし続けた挙句の果ては ....
空がきれいに映った窓の拭き手
命綱に繋ぐ彼が空を拭く手
見上げるのはあんまり小さい
動かす腕の振り幅
すべての空を拭き終えるには
ビルさえ朽ち残らない
しずくひとつ零しても
....
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