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踊るように、街を歩くひとがいた。
両手首に輪を嵌めた、杖をつきながら。
僕の肩越しに密かな風をきり
横切った、彼の背中はおそらく求めていない
これっぽっちの、同情も。
不 ....
僕の履いてる靴の踵は
ぽっかり穴が、空いており
電車待ちのベンチや
仕事帰りのファミレスで
片足脱いでは
いつも小石を、地に落とす。
給料日が来るたびに
「今月こそ ....
世を去った友を追悼して
{ルビ一昨日=おととい}の夜、朗読会の最後に
友の詩集を開いて読めば
何処からか、今も僕等を励ますようで
詩友達は密かな約束を胸に、家路に着いた
昨日 ....
気づいたら、すでに私でした。
鏡に映っている、ひとでした。
産声を上げる場所も
時代も
両親も
自分という役を選ぶ間も無く、私でした。
砂浜を往く、亀に憧れ
黙ってそこ ....
雨の中を走る
新幹線がトンネルに入れば
水滴が、ひとつ
曇った車窓に一筋の
線を、貫いてゆく
旅帰りの僕の
手元に開いた「窓」という本から
語りかける、{ルビ古=いにし ....